*** june typhoon tokyo ***

ANGELA JOHNSON 『GOT TO LET IT GO』

Angela_johnson_got_to_let_it_goまだ完璧に整理されていないCDラックを眺めると、女性ヴォーカリストものが多い気がします。別に男ものが嫌いって訳ではないんですけどね。
いや、女性は大好きですよ。(爆)

あ、ヴォーカルの話ですね。
その女性ヴォーカルの中でも、やはりソウルフルなものに惹かれますね。
ガチャガチャしてるのはどちらかというと好まないので。
という訳で、手を伸ばしたのがこのアンジェラ・ジョンソンのCD。
折角なので、軽くレヴューでもしてみますか。

◇◇◇

 ジョン・クリスチャン・アーチを中心とする4人組、クーリーズ・ホット・ボックスの紅一点ヴォーカリストとして知られるアンジェラ・ジョンソンの2ndソロ・アルバム。
 前作『They Don't Know』から2年ぶりとなる『GOT TO LET IT GO』は、すべてに楽曲のプロデュースを彼女自身が行なっていて、単なるシンガーではなく表現者としての力量を見せつけた作品だ。

 ソフィスティケイト。
アンジェラの作品にはそんな言葉が相応しい、気品あふれている。
基本的にはドラム・プログラミングを駆使した打ち込みサウンドをベースにしているが、キーボードやジャスティン・ウォレス(Justin Wallace)のベースを加えるなど、アコースティックな要素をアクセントにして上質なサウンドを創りあげている。
 なによりも秀でているのは、やはり清廉したヴォーカルと嫌味なく溶け込む心地良いメロディだろう。たおやかさを携えたヴォーカルは、気高さだけではなく、ジャケットに見える彼女の力強い瞳からも察することが出来るように、揺るぎない意志の強さが同居している。そして、そのヴォーカルを活かすメロディは、曲解させることのない、非常にシンプルでキャッチーなものとなっている。美しいメロディに乗せ麗しいヴォーカルで自身の気持ちを伝えるという、シンプルでありながら実は真の強さがなければ届かないストレートなスタンスを造作もなくやってのけるヴォーカリストは、個性を重んじるばかりにややもすると小難しく複雑なサウンドを創り出すアーティストが多い中では、貴重な存在といえるだろう。

 ワウ・ギター・フレーズやホーンを取り込んだ「I'll Always」では力のこもった情熱的な歌唱もみられるが、一見クールな面持ちでありながらも肌当たりの柔らかいジェントリーなヴォーカルがやはり肝。
 ライトなラテン調リズムをバックに心持ちの軽いメロディが展開するミッド「You're Here With Me」で披露する鮮麗なハイトーンや、こちらもラテン風パーカッションのリズムが心地良い軽快なミッド「All I Need」でみせるコーラス・アレンジは、彼女のサウンドへの浸透力と適応能力の高さが垣間見られる。アシッド・ジャズ風の「Early Bird」では、ゆるやかに松籟を聴くような雰囲気だ。アルバム・タイトル曲「Got To Let It Go」は、内から滲み出るようなソウルフルなヴォーカルをみせ、その陰りのあるムードがたまらない。

 そして、そういった彼女の良さが最大限に発揮されるのが、しっとりとしたバラード。
doubleに提供し、doubleがF.O.HのHIROと艶美なデュエットをしてみせた「Let's Get Together」のセルフ・カヴァーや、「Angel」に新たな詞をつけた「Tell Me」などでは、doubleの幻惑的な清新なヴォーカルとはまた違った、どこか物憂げな表情を醸し出している。

 どのようなサウンドであっても真摯な誠実さが伝わる洗練されたヴォーカルを聴くと、落ち着いた佇まいを持った高級感を体感させてくれる。アダルトなムード作りや、純粋に良質な音楽に包まれたい時に浸りたい、グッド・ミュージックだ。

 ボーナス・トラックとして収録された「Revolution」は、ビートルズのカヴァー。日産プレサージュTV-CF曲として話題となった曲だが、これは日本国内盤へのサービスか。特筆するというところまではいかないが、ロック・サウンドにもスムースに溶け込んだヴォーカルを披露しているのは、やはりアンジェラならではといったところだ。

◇◇◇

スムース、クール……なーんていったけど、
ライヴはさすがにパワフル。
モーション・ブルーでのライヴ映像(「Rock Steady」)はこちら

アンジェラのマイスペースはこちら



ガット・トゥ・レット・イット・ゴー/アンジェラ・ジョンソン

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