またもやホーム・味スタで勝てず、最下位・鳥栖と痛み分け。
3連勝中のFC東京が最下位に苦しんでいる鳥栖を迎えての一戦。鳥栖は7月上旬の第22節・新潟戦に勝利したのを最後に3分8敗と勝ちがなく、J1昇格後はまだ降格していないが、今季は残留へ赤信号が灯っている状態。その上、FC東京からレンタル中の木村、寺山、ジャジャ・シルバが契約上出場不可、特にレギュラーCBの木村を欠くことは非常に痛いところだが、その一方で6試合ぶりに前線で強力なターゲットになるマルセロ・ヒアンが復帰。また、堀米もカムバックし、攻撃に強さが加わっている。
3連勝中のFC東京は、その間大いに活躍した仲川がベンチ外に。そのポジションには安斎が入った。FC東京は3連勝と勢いが上がっているものの、個人的には一見好調に見えるが、この2戦はオウンゴールとPKというアンラッキーな面があった浦和、日程的な疲弊もあって低調だった横浜FMと、相手に助けられたところも大きかった。横浜FM戦では序盤で失点を許すなど、立ち上がりに不安定さを露呈していた。この鳥栖戦でもその状況は拭えず、序盤の9分に福田からのクロスをマルセロ・ヒアンに頭で決められるシーンが。僅かにマルセロ・ヒアンがオフサイドでゴール取り消しとなり、FC東京は命拾いとなったが、福田のダイレクトでのクロスが巧かったとはいえ、容易にクロスを上げさせてしまうシーンが散見された。以降も鳥栖はペナルティエリア手前からの福田が右脚で、12分にペナルティエリア左から西矢が左脚で、直後のCKの流れからペナルティエリアにこぼれたボールをヴィキンタス・スリヴカが振り抜くもGK野澤大志ブランドンがビッグセーフで阻むなど、決定機を創出。FC東京が何とか凌いだ形となった。
前半、FC東京は攻勢を続ける時間帯が多く作れず、鳥栖が攻め上がる回数が目立った。時折カウンターから俵積田、安斎らがゴール付近まで進出するが、なかなかシュートまでには至らず。30分前後でようやく鳥栖陣内へ連続して得点の匂いを感じさせる攻撃も出てきたが、カウンターの鋭さはあっても、外からの単純なクロスは5バックを敷いた鳥栖のディフェンスに対策され、思ったほど脅威とはならなかった。
後半も鳥栖が推進力を持って攻め入る展開に。やはり、ターゲットとなるマルセロ・ヒアンへボールを預けた後、両サイドで起点を作る攻撃を徹底したゆえ、選手同士の共通理解もあり、良い連動を見せていた。それに対して、徐々にFC東京が俵積田の左サイドからのドリブル突破などで主導権を引き戻していたが、73分に鳥栖が細かいパス交換で右サイドを突破すると、途中出場の富樫がグラウンダーのクロス。森重のクリアが中途半端となると、ペナルティエリア中央で中原輝が左脚を振るが森重がブロック、そのこぼれ球に反応したリトアニア代表のヴィキンタス・スリヴカがゴール左下に決めて、鳥栖が先制。木谷監督就任後8試合目で初の先制点という貴重な得点となった。
FC東京は原川や小柏がテンポアップと推進力をもたらし、攻勢を強めるなかでの鳥栖の待望の先制点だったが、FC東京は失点したことでより前への推進力を加速。速いテンポで鳥栖陣内へ攻め込むFC東京に耐え凌ぐ鳥栖という構図のなかで、77分に小柏のシュートがサイドネット、直後に荒木の浮き球クロスから森重がボレーと立て続けにチャンスが続く。82分に原川の左CKの流れから、ペナルティエリアで鳥栖の選手と競り合った岡が粘ると、そのこぼれ球に反応した高が右脚を振り抜いてゴール右上に突き刺し、FC東京が同点に追いつく。
その後もFC東京が原川の緩急をもたらす縦パス、左サイドから遠藤の突破から荒木や小柏がシュートチャンスを創出するなどFC東京が攻勢を強めるが、鳥栖はカウンターからマルセロ・ヒアンの個の力でシュートを放つなど、スタンドを沸かせるゴール前での攻防が続く。だが、FC東京は野澤大志ブランドン、鳥栖は朴一圭の両GKの好セーヴもあり、追加点は生まれず。FC東京は最下位相手に4連勝を掴めず、鳥栖は残留を掴み取る上で必須な勝ち点3を奪えず、両者痛み分けの雨中の一戦となった。
鳥栖は最下位とはいえ、この試合は復帰したマルセロ・ヒアンをシンプルにターゲットにして、攻撃に上積みがもたらされていた印象。一方、FC東京はボールを収められるディエゴ・オリヴェイラになかなかボールが渡らなかったこともあって、前節まではディエゴ・オリヴェイラの近くを仲川、荒木が動き回ってリズムを作り出していた攻撃が、特に前半は鳴りを潜めてしまった。仲川に代わって入った安斎の質が悪かった訳ではなく、選手の組み合わせの問題もあるか。それ以上に、最下位相手で容易いという油断があったとは思わないが、横浜FM戦と比べると、プレスやパスタイミングも若干遅く、ワンタッチやダイレクトパスがなかなか出せなかったりと、ちょっとした“緩み”がリズムをもたらすことができなかった。小柏、原川、遠藤投入以降のクオリティが、早い段階で出ていれば、結果はだいぶ異なっていたはずだ。ふわっとゲームに入ってしまった悪い“クセ”を修正しなければ、試合を優位に運ぶリズムを作るのは難しい。
4位の鹿島まで勝ち点3という位置にいたが、この取りこぼしでまた上位進出を逃した結果に。残り5試合と最終盤となり、どこまで勝ち点を積み上げられるか。巻き返すためには、その緩みと悪いクセを取り除き、シーズンを走り切らなければならない。なにより、ホーム・味スタでの勝利が遠のいたままで“鬼門”と化してしまっている。味スタでのホームゲームは残り2試合。次節は1週空き、優勝を争う神戸とのアウェイゲーム。最終ラインに特に怪我人が多いなか、CB木本が累積警告で出場停止と難しい状況ではあるが、再度攻守のギアを上げ、好内容をもって、次々節ホーム湘南戦に駆け込みたい。
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明治安田J1リーグ 第33節
2024年10月5日(土)15:03KO
味の素スタジアム
入場者数: 21,140人
天候:雨 / 気温:24.9℃ / 湿度:61%
主審:山本雄大
副審:梅田智起、藤澤達也
第4の審判員:上原直人
VAR:大坪博和
AVAR:田尻智計
FC東京 1(0-0 / 1-1)1 鳥 栖
【得点】
(東):高 宇洋(82分)
(栖):ヴィキンタス・スリヴカ(73分)
〈試合経過〉
54分 警告 鳥栖 原田 亘
60分 警告 東京 木本恭生
61分 交代 鳥栖 堀米勇輝 → 渡邉綾平 / 日野翔太 → 富樫敬真
65分 警告 鳥栖 キム・テヒョン
68分 交代 東京 東 慶悟 → 原川 力 / ディエゴ・オリヴェイラ → 小柏 剛 / 俵積田晃太 → 遠藤渓太
73分 得点 鳥栖 ヴィキンタス・スリヴカ
82分 得点 東京 高 宇洋
84分 交代 鳥栖 福田晃斗 → 鈴木大馳 / ヴィキンタス・スリヴカ → 堺屋佳介
87分 交代 東京 長友佑都 → 中村帆高 / 安斎颯馬 → 野澤零温
90+1分 交代 鳥栖 中原 輝 → 今津佑太
【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 05 長友佑都
DF 04 木本恭生
DF 03 森重真人
DF 30 岡 哲平
MF 08 高 宇洋
MF 10 東 慶悟
FW 71 荒木遼太郎
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 33 俵積田晃太
FW 38 安斎颯馬
〈控えメンバー〉
GK 13 波多野豪
DF 02 中村帆高
MF 40 原川 力
FW 11 小柏 剛
FW 14 山下敬大
FW 22 遠藤渓太
FW 28 野澤零温
〈監督〉
ピーター・クラモフスキー
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【明治安田J1リーグ 2024シーズン FC東京試合日程】
第01節 02月24日(土)15:00△FC東京 2-2 C大阪(A・ヨドコウ)
第02節 03月02日(土)15:00△FC東京 1-1 広 島(H・味スタ)
第03節 03月09日(土)16:00✕FC東京 1-2 神 戸(H・味スタ)
第04節 03月16日(土)13:00〇FC東京 3-1 福 岡(A・ベススタ)
第05節 03月30日(土)15:00✕FC東京 0-3 川 崎(A・U等々力)
第06節 04月03日(水)19:30〇FC東京 2-1 浦 和(H・国 立)
第07節 04月07日(日)17:00〇FC東京 2-0 鹿 島(H・国 立)
第08節 04月13日(土)16:00△FC東京 2-2 東京V(A・味スタ)
第09節 04月21日(日)15:00✕FC東京 1-2 町 田(H・味スタ)
第10節 04月27日(土)14:00〇FC東京 3-1 新 潟(A・デンカS)
第11節 05月03日(金)15:00〇FC東京 2-1 京 都(H・味スタ)
第12節 05月06日(月)14:00〇FC東京 2-1 札 幌(A・札幌ド)
第13節 05月11日(土)17:00△FC東京 3-3 柏 (H・味スタ)
第14節 05月15日(水)19:00✕FC東京 1-3 名古屋(A・豊田ス)
第15節 05月19日(日)15:00△FC東京 1-1 横浜FM(H・味スタ)
第16節 05月26日(日)15:00✕FC東京 0-1 G大阪(H・味スタ)
第17節 05月31日(金)19:00〇FC東京 1-0 鳥 栖(A・駅スタ)
第18節 06月16日(日)18:00△FC東京 1-1 磐 田(H・味スタ)
第19節 06月22日(土)19:00〇FC東京 1-0 湘 南(A・レモンS)
第20節 06月26日(水)19:00〇FC東京 1-0 札 幌(H・味スタ)
第21節 06月30日(日)18:30✕FC東京 0-1 福 岡(H・味スタ)
第22節 07月06日(土)19:00✕FC東京 2-3 柏 (A・三協F柏)
第23節 07月13日(土)19:00〇FC東京 2-0 新 潟(H・国 立)
第24節 07月20日(土)18:00✕FC東京 1-2 鹿 島(A・カシマ)
第25節 08月07日(水)19:00△FC東京 0-0 G大阪(A・パナスタ)
第26節 08月11日(日)19:00✕FC東京 0-3 川 崎(H・味スタ)
第27節 08月17日(土)19:00△FC東京 0-0 東京V(H・味スタ)
第28節 08月24日(土)19:00✕FC東京 0-3 京 都(A・サンガS)
第29節 08月31日(土)18:30✕FC東京 2-3 広 島(A・Eピース)
第30節 09月14日(土)19:00〇FC東京 4-1 名古屋(H・国 立)
第31節 09月21日(土)19:00〇FC東京 2-0 浦 和(A・埼 玉)
第32節 09月28日(土)17:00〇FC東京 3-1 横浜FM(A・日産ス)
第33節 10月05日(土)15:00△FC東京 1-1 鳥 栖(H・味スタ)
第34節 10月18日(金)19:00 FC東京 ✕ 神 戸(A・ノエスタ)
第35節 11月03日(日)14:00 FC東京 ✕ 湘 南(H・味スタ)
第36節 11月09日(土)14:00 FC東京 ✕ 町 田(A・国 立)
第37節 11月30日(土)14:00 FC東京 ✕ 磐 田(A・ヤマハ)
第38節 12月08日(日)14:00 FC東京 ✕ C大阪(H・味スタ)
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