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BONNIE PINK@日本橋三井ホール

■ BONNIE PINK“Chasing Hope”@日本橋三井ホール

Bonniepink_chasinghope

 なかなか評判のアルバム『Chasing Hope』を引っ提げてのBONNIE PINKのツアー〈BONNIE PINK TOUR 2012“Chasing Hope”〉の東京公演2日目を観賞。会場は三越前すぐコレド室町内にある日本橋三井ホール。昨年11月に行なわれたアコースティック・ライヴと同じだ(その時の記事はこちら)。ただ、前回はアコースティック・ライヴ・ツアーだったこともあり、全てに座席があったのだが、今回はステージ寄り前方が指定席、後方がスタンディングという仕様。後方にも座席を設置する時には段差がついていたが、後方座席を取り外した今回は、前方と同じフラットな床だったので、背が低い人たちはあまりステージを観られなかったんじゃないだろうか。どうしてこのような仕様にしたのかは疑問が残る。フル座席じゃ集客数が少ない、かといってオールスタンディングだと集客に厳しい(あるいはスタンディングが厳しい客の年齢層が多いことも考慮して?)との狭間で、このような中間を取ったのかもしれない。前方指定席、後方スタンディングでもいいから、後方をもう1、2段くらい床を高くする工夫をしてもらえれば、それほど違和感はないかと思うがどうだろうか。

 さて、本編だが、ツアー・タイトルどおりにアルバム『Chasing Hope』からの楽曲を多く披露して進む。「Stand Up!」から爽やかなボニー節全開。序盤は多少声が上ずるところがあったものの、さほど気にならず。そのうちしばらくしてその上ずりもなくなっていた。

 前回同様、バンマスの鈴木正人のアレンジが奏功。“オッ、この曲をこうするか”と頷きたくなるような原曲とライヴの違いを感じさせる演出が面白かった。「A Perfect Sky」などはオリジナルの“夏満開!”といった開放感を抑え、涼しげな風が吹く街路樹の風景といった秋らしいシャレた演出へ。「Bad Bad Boy」はロック色を濃くしたポップへと昇華していた。
 その「Bad Bad Boy」では(ここからBONNIE PINKは二重、三重に重ねていた衣装の一番上を脱いで、赤いドレスへ)バンド・メンバーを“Bad Bad Boys”と名づけ、日頃の鬱憤を晴らすように提案。メンバー紹介も兼ねた曲中のソロ・パートにおいて、ドラムの白根賢一が“バンザーイ!”、キーボードの奥野真哉が“オレについてこい!”、ベースの鈴木正人が“コラーッ”(自分に対して喝を入れていたとのこと)とそれぞれ叫んだのち、最後にギターの八橋義幸が同様に叫ぶかと思いきや、“今度うちにDVD観に来ない?”とボソッと呟くといったオチも。

 今作では“3.11”の震災の影響から生まれた楽曲が少なからずあるが、「A Perfect Sky」以降の迷いや葛藤が前作あたりから脱しはじめたこともあってか、内省的な詞世界よりも外へ向けてのメッセージを歌う曲が多くなってきた。「Tiger Lily」もまさにそのような楽曲のうちのひとつで、“地球は人間だけのものじゃない、みんなで共存しよう”という願いを詞に込めている。Curly Giraffeのアレンジらしいレゲエ風のバックビートを配したゆるやかでのどかなムードのなかで歌われるこの曲。“森よ Be storong、人よ Be storong、あなたは私、Tiger Lily”のコーラス・フレーズをオーディエンスとともに歌う姿は、充実感に溢れていた。

 鈴木正人をバンマスとしたバンド・メンバーとの相性もいいのだろう。ちょうど良いくらいのリラックスと緊張感で、演奏する楽しさ、ライヴを生み出す楽しさがボニーから伝わってきた。
 それは、アンコール明けの「Forget Me Not」でも感じられた。いつもバックで演奏している“Bad Bad Boys”ことメンバーも、前に出て目立ちたい(?)ということで、左から八橋、奥野、ボニー、白根、鈴木がみんなギターを持って演奏するという試み。ホンの少しずつソロ・フレーズを繋げて終えるといった遊び心も、よりよい一体感を思わせたひとコマだった。

 演奏や楽曲において、比較的にメンタリティで左右されるタイプの彼女だが、楽しいこともシリアスなことも含め、未来を見据えて歩いていこうというポジティヴな気持ちが今は良い方へ作用しているのだと、アルバムを聴いた時以上に感じた。(ビッグ・ヒットを出すという意味ではなくて)今後、再び充実期がやってくるのではないか、そう予感もさせる“斜に構えない”ステージだった。



◇◇◇


<SET LIST>

00 INTRODUCTION
01 Stand Up!(*)
02 Animal Rendezvous(*)
03 Mountain High(*)
04 コイン
05 The Answer -ひとつになる時-
06 My Angel(*)
07 Fallen Sun
08 Passive-Progressivism
09 He
10 A Perfect Sky
11 Bad Bad Boy(*)
12 Tiger Lily(*)
13 街の名前(*)
14 冷たい雨(*)
15 Don’t Cry For Me Anymore(*)
≪ENCORE≫
16 Forget Me Not
17 Happy Ending
18 Change(*)
≪ENCORE #2≫
19 Rumblefish


(*)= Song from Album“Chasing Hope”


<MEMBER>

BONNIE PINK(Vocal/A.Guitar/Piano)

鈴木正人(Bass)
奥野真哉(Keyboard)
八橋義幸(Guitar)
白根賢一(Drums)


◇◇◇


 残念だったのが、マイ・フェイヴァリットの「ナツガレ」がセット・リストに載らなかったこと。季節がもう夏じゃないから? って、「A Perfect Sky」は入るのにか。今作で演奏されなかったのは、もう一曲「Baby Baby Baby」。こちらはアイゴンこと會田茂一プロデュースだからいいとして(っていっても「Bad Bad Boy」はアイゴンのプロデュース。なんか“B”が多いな…笑)、「ナツガレ」はバンマスのプロデュースなのに……まぁ、これは次回のお楽しみにとっておくとするか。

 それにしても、「街の名前」は名曲ですな。
 

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 今回、どこか“赤”を衣装に入れることを言われていたらしいバンド・メンバー。普段は履かない赤いパンツを「似合ってますよ」と言われたギター八橋、さらに「なんですか、帽子とか被ってイメチェン……スナフキンみたい」とボニーに言われ「嬉しいです。でも、もっと赤の似合う人が……」と発言。「なんとなく解かりましたね」のボニーの発言を聞くまでもなく、それはキーボード奥野なのはいうまでもなかった。
 
 「Bad Bad Boy」はライヴで聴いたら、CD以上にサイモン&ガーファンクル「冬の散歩道」っぽいニュアンスが散りばめられている気がして。イントロのエッジーな部分とか、特にね。
  

Bonniepink_chasinghope02






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