2年ぶりの多摩川クラシコ第1ラウンドは、アウェイのFC東京が勝利した。
先日のACLの北京国安戦で負傷したDF加賀は全治6~8週間ということで、チャン・ヒョンスをCBに起用。長谷川が出場停止明けから戻ったが、梶山はまだ。サブにはDFに丸山が登録された。
前半は一進一退だったが、後半早々長谷川が2枚目のイエローカードで退場となり、多くの時間を10人で戦うことを強いられた東京。前半は比較的FC東京の細かいパス回しがリズムを生み、川崎陣内での展開が多かったが、この退場で形勢は一転。数的優位となった川崎が攻勢をしかける。東京は羽生に代えて米本を投入することで、まずは守備の綻びの矯正に着手。だが、米本の調子もそれほどではなく、パスミスも多く見られ、川崎の攻勢を止めるまではいかない。それでも、要所はしっかりと締めて、さらに高い位置での攻撃の起点となるようなパスカットを狙う姿勢が見られた。
とはいえ、人数で有利な川崎は、攻撃を立て続けに仕掛けてくる。フリーな場面も見られたが、権田が好セーヴを連発。川崎にゴールを割らせない。
試合のキーポイントの一つといえるのかもしれないのが、後半30分過ぎたあたり。ボールロストや攻撃の勢いをパスカットされるなどで潰されていた感のあった谷澤に代えて田邉をピッチへ送る。一方、川崎はチャンスを演出&ゴールに迫っていた田坂を下げて、稲本を投入。さらに、東京にとっては脅威だったレナトを交代させる。これが、10人で戦わければならない東京にとっては、大きかったのではないか。10人で攻撃に耐えるなか、さらにレナトの足を活かされては東京も最後の10分はもたないのではと思っていたのだが。
それでも川崎の攻勢がまだ続く。そんななかでチャンスを掴んだのは、試合のもう一つのキーポイントとなった高橋のミドル・シュートだった。90分まで5分もない時間帯で、流れの中で中央へ横パスがくると、高橋は前にあったスペースを活かしてシュート。これが相手GK西部の手を弾きコーナーキックを得る。石川が蹴ったこのコーナーキックを森重が頭で合わせてついに一人少ないFC東京がゴールを揺らすこととなった。やはり、シュートの意識が大切なんだと教えてくれたようだ。
終盤はこれまでの多摩川クラシコらしく死闘の様相に。太田が負傷してピッチを去ると微妙な判定に、ロスタイム6分の表示(ロスタイムが6分を表示したのは……2006年の味スタでの多摩川クラシコ以来に見た気がする)。攻める川崎、守るFC東京というナビスコ決勝のような図式のなかで、何とか川崎の攻撃を凌ぎ切り、勝利することとなった。
熱い試合というのもあるが、やはりカードが出るようなプレイが多くなってしまったのは、判断の速度がまだ遅い証拠だろう。頭と身体のバランスと事前の意識が上手く融合していない結果なのだ。長谷川はいいプレイも見せたが、神戸戦に続いて2枚イエローカードをもらっての退場が2度目。ボールを受けてからの判断力や攻め手に対してのチャージするタイミングなど、判断のスピードをいま一度高めていく必要があるだろう。得点能力が高いことは実証済みだが、そういった中盤としての安定性や重みも感じてパフォーマンスを向上してもらいたいところだ。
とにもかくにも、一人少ない10人で川崎の攻撃を凌ぎきったFC東京。最後まで諦めない意識が、自分たちのサッカーを貫き続けるという信念が、高橋のミドルを生み、その後の得点シーンを生んだに違いない。そういった意味ではたかが1点差での勝利だが、チームが成長をしていることが実感出来た試合でもあったろう。これからは怪我人も多くなり、当初の布陣とはだいぶ違ったものになるかもしれないが、ゴールを奪うという信念のもとに、最後まで走り回ってもらいたい。
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<J1 第5節>
2012/04/08 等々力陸上競技場
川崎 0(0-0、0-1)1 FC東京
【得点】
(東):森重(87分)
【退場】
(東):長谷川(48分)
観衆:20,996人
天候:晴、中風
気温:12.9度
≪MEMBER≫
GK 20 権田修一
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 30 チャン・ヒョンス
DF 06 太田宏介 → DF 33 椋原健太(90分)
MF 04 高橋秀人
MF 08 長谷川アーリアジャスール
MF 18 石川直宏
MF 22 羽生直剛 → MF 07 米本拓司(51分)
MF 39 谷澤達也 → MF 27 田邉草民(75分)
FW 49 ルーカス
GK 01 塩田仁史
DF 16 丸山祐市
FW 11 渡邉千真
FW 13 平山相太(90分)
監督 ランコ・ポポヴィッチ
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等々力競技場と桜。
等々力競技場周辺。
シートを敷いて花見をしているサポーターも。
FC東京カラーのトラック発見。
FC東京ゴール裏。完売とのこと。
川崎側も多くの観客。
“ユルネヴァ”中。
サークル中央に佇むマスコットたち。
川崎のコレオグラフィ。
スカイブルーと黒のコントラストが綺麗。
FC東京ゴール裏は負けじと声援。
選手整列。
ハーフタイム。マスコットが場内を一周。
フロンタとドロンパがなにやらポーズ。
ちなみに、ドロンパはゴール裏で“ブラック”ヴァージョンの目を装着済。
森重ゴール直後の歓喜!
試合終了。
FC東京ゴール裏に挨拶する選手たち。
メインスタンドに挨拶する東京の選手たち。
ポポヴィッチがゴール裏に来て“シャー!”を!
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高橋のシュートがGKの手を弾いてからのCKが決勝弾の切っ掛けに。
やはり、常にシュートは意識しないと。
ルーカスの雄叫び顔が凄い。(笑)