*** june typhoon tokyo ***

Mixed Up@代官山LOOP


 代官山LOOPで開催されるコラボレーション企画イヴェント“Mixed Up”を観賞。目当てはOrlandとEspecia。“Mixed Up”は今年6月、AFRO PARKERとEspeciaが出演した時に行って以来(その時の記事はこちら)。Orlandは2013年10月のタワレコ感謝祭イヴェントで観賞して以来(その時の記事はこちら)で、この時はEspeciaも出演。Negiccoと「相思相愛」をコラボレーションしたステージも見せてくれた。

 この日は味スタでのFC東京×柏戦を観戦していたこともあり、途中からの参加。当日券があることを祈りながら、試合終了後に味スタから代官山へ駆けつけた。到着したのは19時30分頃で、2組目のShiggy Jr.の演奏中だった。ギュウギュウとまではいかなかったが、ドア付近まで人が溢れる好況ぶり。ロッカーへバッグを預けて、ホール中央へと歩を進めた。


 Shiggy Jr.は、2012年12月に結成された池田智子(vo)、原田茂幸(g&cho)、森夏彦(b)、諸石和馬(ds)からなる4人組。これまで2枚のミニ・アルバムを発表。どことなく薄っすらと高畑充希と夢眠ねむを感じさせるルックスの池田智子のキュートなヴォーカルとハッピーなグルーヴのポップ・サウンドが魅力。いきものがかりとかケラケラ路線との類似性も感じさせるが、“切なさ”というよりも多幸感やハートウォーミングなムードを強調しているか。何よりメンバー自身が楽しそうに演奏しているところがいい。変なかっこつけもなく、徹頭徹尾ポップネスを全うしようという姿勢などが、楽曲をスッと引き込ませることに繋がっているのかもしれない。しっかりと聴けたのはラスト2曲「LISTEN TO THE MUSIC」と「Saturday night to Sunday morning」くらいだったが、特にラストの「Saturday night~」でのコール&レスポンスは自身がこれまでで最大というくらいのレスポンスを受けたとのことで、一体感が溢れたエンディングとなっていた。



 ステージチェンジ中にはPellyColoが心地よいDJタイムを演出。1986オメガトライブのデビュー・シングル「君は1000%」を掛けたのには笑ってしまったが(フロアからは「カルロスー!」の声も…笑)。

 続いて、目当ての一つ目のEspecia。前回の“Mixed Up”ではトリだったが、今回はトリ前。オーディエンスの集客度からいうと4組中で最も集客力が高い彼女らだが、10月4日のイヴェントを最後にグループを脱退する杉本暁音の東京ラスト・ステージということもあり、より集客があったものと思われる。直前にサイリウムが配られるなど、ファンも杉本暁音の東京ラスト・ステージを盛り上げようという気概に満ちていた。

 時間が限られていることもあるが、出来るだけ杉本暁音とのステージを体感してもらおうという意図もあったのかも知れない。しっとりと聴かせる楽曲は「嘘つきなアネラ」くらいで、ミディアム~アッパーな楽曲をノンストップでパフォーマンス。実質1曲目に「スカイタイム」を持ってきたあたりなどは、杉本のパートが映える楽曲をセレクトしてきたような気がした。

 アルバム『GUSTO』リリース以降目新しい楽曲はないが、歌唱・ダンスともに成長しているところが窺える。各々がオーディエンスとともに楽しむ余裕が出てきたこともあるだろうし、以前とは反応がすこぶる良いことから彼女たち自身も手ごたえを感じているようだ。ただその一方で、ハーモニーやディテールの部分のグループとしての足並みはまだ発展途上。彼女らのステージは頻繁にアレンジの変化もあり、それにつれてダンスや歌唱パートが代わってくるのだが、全国ツアーからは5人体制でのパフォーマンスを強いられることになる。個人個人ではスキルアップに努めているだろうが、グループのバランスが保たれるかはまた別の問題だ。6人から5人というのは単に一人抜けるだけと思われるかもしれないが、それぞれの距離感やパート配分など、微妙な狂いが生じることは必至。それをどうこなしていくか、それが次の課題となってくるだろう。

 ただ、この日は杉本暁音の“フェアウェル・パーティ”という趣が強く、四の五の言わずに現“Especia”を楽しもうという空気がステージ、フロアともに充満していた。暗闇に煌めくサイリウムと髪を切ってフレッシュになった杉本の楽しげな微笑みが交差する空間を共有することに、ファンは一喜一憂していたのではないだろうか。




 トリは目当ての二組目、Orland(オーランド)。OrlandはYuma Osako(vo,talkbox,syn)、Yutaka Hirata(vo,g,syn)、Tomohiro Osawa(vo,b)、Minoru Yagi(ds)の4人組。ステージ中央にシンセサイザーをトライアングルに組むというユニークなセットが特色。80年代ポップスとハウス、テクノを融合させた感覚は、Especiaのサウンド・コンセプトと近似性がある。バックで流れるヴェイパーウェイヴ(CMやジングル的なBGMをコラージュしたりサンプリングしたりした、産業的・コンピュータ的なエレクトロ・ポップ・ミュージックとでも言おうか)なサウンドやヴィデオにも、それらは感じられる(この日は映画『ブラック・レイン』とアニメ『AKIRA』、アメリカの美形モデルが登場する映像など)。

 シンセ・トライアングルのうち、特に左に位置するYuma Osakoのトークボックスが強く印象を与える。ただ、今回はトークボックス使いより素の歌唱によるパフォーマンスも多く、ライヴの生々しさがより見えて面白かった。もちろん、全ての楽曲がシンセ・トリオという訳ではなく、ベース、ギターとシンセの組み合わせも。インスト曲を挟みつつ、ポジティヴなグルーヴをシンセ・トライアングルとバックに控えるドラムで構築。派手なパフォーマンスはないが、胸をときめかせるのに十分な輝かしいサウンドでスタイリッシュな風を吹かせていた。

 アンコール後、ステージ・セットを移動させスペースを作ると、“Orland”キャップを被ったEspeciaを招き入れてのコラボレーションを。Especiaの「ミッドナイトConfusion」をOrlandのメンバーが演奏するという、この二組を目当てにしていた自分としては嬉しいサプライズとなった。
 次いでShiggy Jr.のヴォーカル池田智子を呼び込み、彼らの楽曲「Fragment Of Romance」を女性ヴォーカルで披露するという試み。池田のキュートなヴォーカルとポップな80年代サウンドが、このイヴェントのエンディングに相応しいジョイフルな空間を創り上げていった。


 このイヴェントの肝は、アーティストの組み合わせの妙だろう。一見、異種格闘技戦のような他流試合に思わせながらも、実はサウンドやコンセプトなどで相似性が感じられるアーティストをブッキングしていることが、成功の大きな源になっているといってもいい。たとえば、前述の80年代、ヴェイパーウェイヴというキーワードでリンクしたOrlandとEspeciaなど、程よい距離感とサウンドやグルーヴの密接性において、絶妙のバランスを保っているところが素晴らしい。

 今後も興味深い組み合わせがあるようなので、新たなアーティストとの邂逅や発見においてもアンテナを張っておきたいところだ。

 最後に、残念ながら今回は観賞出来なかったMONTBLANCのPVを。

◇◇◇

<SET LIST>
【MONTBLANC】
音楽
レインメイカー
TOUGH!!!
GO WAY GO WAY
she said
平らな世界
Shangri-La
LOVE
BABY CALL ME NOW

【Shiggy Jr.】
Oh Yeah!
Summer Time
Baby I Love You
Oyasumi
Dance Floor
Day Trip
サンキュー
LISTEN TO THE MUSIC
Saturday night to Sunday morning

【Especia】
Intro(from GUSTO)
スカイタイム
パーラメント
嘘つきなアネラ
きらめきシーサイド
海辺のサティ
アバンチュールは銀色に
YA・ME・TE!
No1 Sweeper

【Orland】
Love's On The Way
The Twilight Hour
Lovin' You(Original by Kiichi Yokoyama)
Heavenly
Ready Or Not
Outside, Inside
Manhattan In Love
Because Of You(give me wallets Remix)
≪ENCORE≫
ミッドナイトConfusion(Orland+Especia)
Fragment Of Romance(Orland+池田智子 from Shiggy Jr.)

◇◇◇


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