控え室から入って来たのは 今朝あったばかりの小松だった。
今頃は営業に走り回っている筈のこいつが 目の前にいたので驚いた。
「よろしく」同じ営業部にいるのに 顔を会わさないのは 俺が怠け者だからだ。
一緒に組むのはイヤだなと思ったら 顔に出たようで 小松はニコッと笑った。
やっぱりこいつは苦手だ。
常務も苦笑いしながら、
「控え室で打ち合わせして下さい」と隣室へいくよう促す。
オレ、個室や密室って嫌いだ。
嫌々座らされ 事務いすの居心地が悪く 胃も痛くなる始末。
狭い部屋はドアが閉まると、防音になっていて 外の音は聞こえないし 中の音も洩れない。
こういう場所は苦手だ。