絵巻を愉しむ-≪をくり≫絵巻を中心に
2015年7月4日~8月30日
三の丸尚蔵館
次の6点の絵巻が展示される。ただし、私の訪問日には(2)の展示はなし。
「会期中、場面の入れ替えを行います」とのことだが、いつ、何回、何を対象に入れ替えを行うのか、私の気付いた範囲では情報がない状況。(追記:(1)は7/30まで、(2)は8/1から展示。他も8/1から場面を入替。)
会場配布のリーフレットに図版がある9場面のうち5場面を今回見ることができた。残る4場面も、いずれ登場するのだろう。
(1)「絵師草紙」1巻
鎌倉時代,14世紀
(2)「住吉物語」2巻のうち
室町時代,16世紀
(3)「をくり(小栗判官絵巻)」伝岩佐又兵衛 15巻のうち,
江戸時代,17世紀
(4)「酒伝童子絵巻」5巻のうち
江戸時代,17世紀
(5)「彦火々出見尊絵巻」6巻のうち
江戸時代,17世紀
(6)「若蘭絵巻」伝仇英 1巻
中国・明時代,16世紀
特に楽しく鑑賞した2点について記載する。
「絵師草紙」1巻
昔どこで一度観た記憶がある。2場面の公開。
1)親族を集め、朝廷より領地を賜ることとなったと告げる絵師。
飲めや歌えやで盛り上がる祝宴。
2)賜った土地は物騒で年貢も取れないと知って、落胆する絵師と妻。
その後、絵師はあつかましくも、都により近い領地への変更を要求。朝廷からは音沙汰なし。世の無常を悟って、仏道に帰依するという。
「をくり(小栗判官絵巻)」伝岩佐又兵衛
第1巻から 2段
1)若君(小栗)の誕生
2)産湯をとらせて射払いをする。
第8巻から 2段
1)照手の見た不吉な夢-小栗が死装束で馬の背に反対に乗り、北の方向へ向かう。
2)横山の招待を受けて出かけようとする小栗を引き留める照手。小栗は夢違いの呪文を唱える。
第11巻から 2段
1)閻魔大王は、現世に返すこととした小栗の胸札に藤沢の上人への言づてを書く。
2)閻魔大王は、小栗を娑婆に帰すために杖で虚空を一打ちする。
第13巻から
餓鬼阿弥の姿となった小栗は、東海道を上り、京・大坂を経て、引き続き土車に引かれ、熊野に向かう。
何度も登場する、土車に乗っている餓鬼阿弥の姿。そのグロテスクな描写に惹かれる。
堺の浜:5人が土車を引く。
→四十八坂(長井坂、糸我峠、蕉坂、鹿瀬):8人が土車を引く。
→仏坂、こんか坂:7人が土車を引く。
→こんか坂からの山道は険しく、小栗は置いていかれる。
→大峯修行の山伏たちが通りかかり、小栗を籠に入れて背負って運ぶ。
→山伏たちのおかげで、小栗は444日目に目的地の湯の峯の湯に入ることができる。
→7日目、目が開く。
→14日目、耳が聞こえるようになる。21日目、口がきけるようになる。
→49日目、元の姿に戻る。
これだけ楽しめて入場無料。
再訪問するつもりだが、いつ行けばよいだろう。前後期制で、後期は8/1からという予想でよいだろうか。