東京商工リサーチが 2016年3月期決算企業の有価証券報告書(6月30日17時時点で2,442社)を調べたところによると、「役員報酬1億円以上を受け取った役員の個別開示を行ったのは211社、人数は414人だった」そうです。
個人別の上位は...
「6月30日17時時点の役員報酬最高額はソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長で、歴代最高額となる64億7,800万円。次いで、ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー取締役が20億9,600万円、アオイ電子の大西通義元会長の11億6,800万円と続く。」
会社別で、1億円以上が多いのは...
「6月30日17時時点、役員報酬1億円以上の個別開示を行った企業211社のうち、三菱電機が23人(前年23人)で最多。次いで、ファナック、東京エレクトロンが各11人、トヨタ自動車が8人、野村ホールディングス、大和証券グループ本社、ダイキン工業、LIXILグループが各7人の順。」
このプレスリリースに書かれているように、個人ごとの役員報酬の開示は、民主党政権のときに導入され、そのときは反対論もあったと記憶していますが、いまやこの時期の風物詩になっているようです。(株主総会の前に有報を出して開示しないと効果半減だと思いますが)
役員報酬、1億円超は211社414人 - 三菱電機が最多(マイナビ)
より下位までのランキングが出ています。
格差どこまで…「役員報酬トップ30」凄まじい“富の集中”(日刊ゲンダイ)
「...特徴的なのはトップ10のうち、ナント6人が外国人だったことだ。東京商工リサーチ情報本部・坂田芳博氏はこう言う。
「昨年の大半は『退職慰労金』などをもらった役員が上位にきていたが、今年は業績に連動しています。外国人が多い理由は、グローバル化が進む中で、日本市場より海外の市場開拓を進める企業が多いからでしょう。外国人が持つ人脈や能力に対する期待が込められています。外国では日本のように生涯ひとつの会社にいるという感覚はない。いい条件を出した会社に転職したりヘッドハンティングされたりするため、高額化するのでしょう」」
80億4200万円 昨年度の役員報酬最高額 「プロ」引き抜きの相場(毎日)
「日本企業で日本人と外国人の「報酬格差」が生じるのは、欧米の役員報酬が高額な傾向にあるためだ。コンサルタント会社ウイリス・タワーズワトソンが売上高1兆円以上の企業で最高経営責任者(CEO)の役員報酬(14年)を調査したところ、最高額と最低額の真ん中の額は米国12億2251万円▽英国6億7840万円▽日本1億2950万円。欧米では、複数の企業で業績を改善させた「プロ経営者」を好条件で引き抜くのが当たり前で、報酬もつり上がる。海外から優秀な経営者を招こうとすれば現地並みの報酬が必要だ。」
「高額報酬に対し「業績に見合うのか」と異議を唱える声も強まっている。英メディアによると、15年12月期に巨額の赤字を計上した石油会社BPでは、ボブ・ダドリーCEOに前年比2割増の1960万ドル(約20億円)を支払う提案に、過半数の株主が反対した。仏ルノーでも、カルロス・ゴーン会長兼CEOの報酬(約725万ユーロ=約8億3000万円)に過半数の株主が反対。いずれも拘束力はなく、予定通り支払われた模様だが、08年の金融危機でも、米投資銀行の巨額役員報酬に批判が集まった。」
業績連動報酬についてふれています。
「日本と欧米では報酬の仕組みも異なる。役員報酬のうち、固定給である「基本報酬」の比率は日本の59%に対し、米国は11%、英国は25%だ。残りは業績連動の賞与や自社株式による報酬で、業績が良くなるほど報酬もアップする。
「報酬を上げてもらおう」と経営者が頑張って経営が上向けば、高額報酬にも理解を得やすい。ただ、短期的な利益を優先した結果、企業が衰退するケースもある。01年に経営破綻した米エネルギー会社エンロンでも、目先の業績次第で報酬がつり上がる仕組みが粉飾決算の要因の一つだった可能性がある。
政府は成長戦略で「経営陣に中長期の企業価値創造を引き出すためのインセンティブ(動機付け)の付与」を掲げる。欧米流の業績連動を強めて経営者のやる気を引き出す一方、中長期の成長にも目配りする狙いで自社株を報酬に組み込みやすくする仕組みの整備などを進めている。」
特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)のことでしょう。
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