三菱地所が役員報酬を株式で付与する制度を導入するという記事。特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)のことだと思われます。日経によれば4例目だそうです。
「対象は取締役および執行役(社外取締役は除く)。付与された株式は一定期間、売却できないようにし、長期的な目線での株価向上を意識するよう促す。また、3年間の配当と株価の上昇分を合わせた総合的な株主の利益が目標に達しなかった場合などに、会社が無償で回収する条件も付ける。」
会社のプレスリリース。
譲渡制限付株式報酬制度の導入に関するお知らせ (PDFファイル)
「本制度は、対象役員に対し、譲渡制限付株式を割り当てるために金銭報酬債権を付与し、 当該金銭報酬債権を出資財産として会社に現物出資させることで、対象役員に当社の普通株式を発行又は処分し、これを保有させるものです。 なお、譲渡制限付株式の払込金額は、報酬委員会において決定されます。
また、本制度による当社の普通株式の発行又は処分に当たっては、当社と譲渡制限付株式の割り当てを受ける対象役員との間で、 譲渡制限付株式割当契約を締結いたします。
譲渡制限付株式割当契約では、 対象役員は、 割り当てを受けた譲渡制限付株式について、 一定期間の譲渡又は担保権の設定その他の処分をしてはならないことが定められます。
また、3年間の Total Shareholder Return (株主総利回り) の目標を達成できなかった場合等、その他一定の事由が生じた場合には、 当社が当該譲渡制限付株式の一部又は全部を無償で取得するものといたします。
譲渡制限付株式の割り当てに関するその他の具体的内容については、個人別金銭債権額等を決定する当社報酬委員会において決定されます。」
当サイトの関連記事(リストリクテッド・ストックの解説について)
その2(経産省の手引きについて)
経産省の手引きの会計部分はトーマツ(の会計士)が監修しているようです。現行の会計基準(例えばストックオプションや自己株式)の解釈で当然こうなるという処理であれば、監査法人の見解で決めるのもいいのでしょうが、現行基準の想定外の論点も含んでいるようにも思われます。会計基準を担当している機関や役所が、きちんと関与すべきなのではないでしょうか。
(経産省の研究会には金融庁がオブザーバーという(責任のまったくない?)立場で参加しているようですが、何らかの適切なアクションを起こしたのでしょうか)
役員報酬の開示という点では、役員に株式を付与した時点では、開示される額には含まれず、会社がPLで費用計上していく金額が開示されるものと思われます。つまり、目立たないように各年度にばらして開示(他の報酬とあわせて1億円未満であれば個人別開示不要)されるということになるのでしょう。
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