週刊経営財務の12月3日号によると、ASBJにおける企業結合(ステップ2)の検討で、遡及適用と適用前の年度の組替に関して議論されているそうです。
「遡及適用については、一律に行わない方向で検討が進められていたが、遡及適用を認めることを求める意見もあり、その可否を検討。また、過去の財務諸表の組替えに関しては、表示関係の改正に伴い、当期純利益が2箇所に表示されることが想定されるため、組替えることを検討している。」
検討されている新しい基準では、従来の「少数株主損益調整前当期純利益」を「当期純利益」とし、その内訳として親会社株主帰属分と非支配株主帰属分を表示することになります。
そうすると、組替なしの2期比較形式の場合、前期(新基準適用前)の「少数株主損益調整前当期純利益」という科目名はそのまま残り、「当期純利益」は少数株主利益の控除後に表示される一方で、当期(適用初年度)の「当期純利益」は従来の「少数株主損益調整前当期純利益」のすぐ下に表示されることになります。これではみっともないということか、前期の「少数株主損益調整前当期純利益」という項目名を「当期純利益」に組み替えてしまおう(そうすれば「当期純利益」は1か所だけになる)ということのようです。
それも一つの考え方だとは思いますが、そもそも、現行の「少数株主損益調整前当期純利益」は、新基準の「当期純利益」と同じものなのでしょうか。経営財務では「表示関係に関する改正」だといっていますが、子会社株式の一部売却を資本取引にするなどの会計処理の改正も含まれており、現行の「少数株主損益調整前当期純利益」=新基準の「当期純利益」、ではないはずです。
退職給付会計基準の改正では「退職給付引当金」という科目名は廃止され、「退職給付に係る負債」になりましたが、2期比較形式では、前期分と当期分として両方の科目が表示されることになっています(引当金の定義に当てはまらないからという理由だったと思います)。
その前例にならうとすれば、組替しないということになりますが、難しいところだと思います。
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