米SECが、中国企業の新規上場前にこれら企業に追加の情報開示を求めるという記事。SECの委員長がそのような声明を出したそうです。
「SECのゲンスラー委員長は30日の声明で、米国での上場を目指す中国企業は中国政府から許可を得たかどうかといった情報を開示する必要があり、SEC職員はそれが確実になされるように取り組まなければならないと指摘。法律に基づき、こうした中国企業の監査記録に対する調査を米当局が3年続けて拒否されることがないよう体制を整備することも職員に求めた。
米資本市場の投資家を保護するための措置とのことです。
当局干渉リスク明示を 米SEC、中国企業に要求(産経)
「米証券取引委員会(SEC)は30日、米国で株式上場を目指す中国企業に新たな情報開示義務を課すと発表した。中国当局による経営への干渉リスクなどを明示するよう求め、従わない場合は上場を承認しない方針だ。」
「中国企業は新たに、中国当局から米国の取引所へ上場する許可を取ったかどうかの情報を開示しなければならなくなる。上場後、米国企業並みの開示義務を怠った場合に、上場廃止になる可能性があることも明確化する必要がある。
中国企業は本国の規制を逃れるため、主に英領ケイマン諸島に設けたペーパーカンパニーを間接支配し、米国市場で上場する手法を取っている。SECは、こうした不透明な企業統治のあり方も株主らに示すよう求めた。」
ペーパーカンパニーを使った米国上場スキームについては、日経の方が正確なようです。
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中国企業の迂回上場監視 米SEC、リスク明示要求(日経)(記事冒頭のみ)
「ゲンスラー委員長は特に、規制を迂回して海外に上場する仕組み「変動持ち分事業体(VIE)」を使った上場スキームについて精査するようSECのスタッフに指示した。
米国に上場する中国企業はまず米上場の「箱」となる会社を英領ケイマン諸島などに設立登記する。次にケイマン籍の米上場会社が中国国内に100%の子会社を設立し、中国で事業を営む本体と「協議支配契約」を結ぶ。契約によって上場会社が中国企業の支配権を握り、利益を吸い上げる。
複雑な仕組みは中国企業が外資規制をくぐり抜けて米国に上場し、外国人に株式を買ってもらうために考案された。」
産経記事・日経記事でもふれていますが、こういうことがあって、投資家が損失を被らないようにということのようです。
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中国当局、IPOしたばかりの「ディディ(滴滴出行)」をDL停止処分(Business Insider)
「中国政府は2021年7月4日、中国の配車サービス「ディディ(Didi:滴滴出行)が、ユーザーの個人データを違法に収集して利用しているとして、アプリストアが同社のアプリを提供することを禁止した。
これは同社がニューヨーク証券取引所に株式を上場した数日後に起こった。」
「ステージが変わった」国内IT企業を異例の締め付け…中国共産党の“次なる狙い”(文春オンライン)
日本企業にも影響が...
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ソフトバンクGがウーバー株の一部売却、滴滴の投資損失穴埋め-報道(ブルームバーグ)
「ソフトバンクグループは配車サービスの滴滴出行への投資損失を穴埋めするため、保有するウーバー・テクノロジーズ株の一部を売却する。CNBCが複数の関係者を引用して伝えた。
CNBCによると、ソフトバンクは持ち分の約3分の1に当たるウーバー株4500万株を売却した。」
SEC委員長の声明というのはこれ。
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Statement on Investor Protection Related to Recent Developments in China(SEC)
冒頭部分。やはり、中国政府の動きが規制強化のきっかけのようです。
Recently, the government of the People’s Republic of China provided new guidance to and placed restrictions on China-based companies raising capital offshore, including through associated offshore shell companies. These developments include government-led cybersecurity reviews of certain companies raising capital through offshore entities.
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