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「安すぎた」ファミマTOB、伊藤忠との攻防の全内幕 地裁決定文が指摘「機能しなかった特別委員会」(東洋経済より)

「安すぎた」ファミマTOB、伊藤忠との攻防の全内幕 地裁決定文が指摘「機能しなかった特別委員会」

伊藤忠商事によるファミリーマートTOBをめぐる裁判所の決定において、ファミリーマート側の特別委員会が機能しなかったとされたことについて解説した記事。

伊藤忠(すでにファミリーマートの親会社だった)からの提案に対するファミリーマートの対応は...

「ファミリーマートは財務アドバイザーにメリルリンチ日本証券を選任したほか、社外取締役3名で特別委員会を組成。TOBへの賛否、一般株主に応募を推奨するかどうかについては、特別委員会の判断を最大限尊重することとした。特別委はファミリーマートとは別に、財務アドバイザーとしてPwCを選任して企業価値の算出を行っている。」

算定された株価は...

「企業価値算定において最も一般的な方法とされるDCF法で比べると、伊藤忠が雇った野村の下限1701円と、特別委が雇ったPwCの下限2472円には700円もの開きがあった。PwCのDCF法による価格は2472~3040円で、実際のTOB価格2300円がこのレンジを下回っている点を東京地裁は指摘している。」

当初、特別委員会は、一応、一般株主の利益のために動いていたそうです。

「安く買いたい伊藤忠側はコロナ禍による環境変化を理由に、TOB価格を2600円から2000円に引き下げ、コロナ禍の影響を織り込んだ業績予想の下方修正を促したとみられるが、特別委はこうした要求に抵抗し、2020年6月5日には2800円が妥当な価格だと伊藤忠側に伝えている。

このほか、伊藤忠側に対して買い付け株数の下限やMOM(マジョリティ・オブ・マイノリティ)条項の設定を強く要求していた。どちらも一般株主保護の観点から必須とされているものだ。」

特別委員会が雇った法律事務所や財務アドバイザーだけでなく、ファミリーマートが雇った法律事務所、アドバイザーも賛同できないと助言していたそうです。

記事では、ファミリーマートの反論や、今回の決定の意義(「日本のTOBの歴史において、買取価格が見直されるのは異例」)などについてもふれています。

当社株式買取請求に係る 東京地方裁判所の決定について(4月5日)(ファミリーマート)

「当社としては、2020年7月8日(水)付け公表文でお伝えした通り、当社の独立社外取締役により特別委員会を組成し、公正な手続きのもと、真摯に本件取引を検討し交渉を行ってきたものであり、当社の主張が裁判所に認められなかったのは誠に遺憾です。

本決定を受けて、当社は2023年4月5日(水)に、東京高等裁判所に対して、当該決定に対する抗告を行うことにいたしました。なお、申立を行った一部反対株主が、当社及び伊藤忠商事株式会社の経営陣が少数株主の利益を顧みることなく本公開買付を行った旨の見解を表明していますが、これは事実に全く反するものであり、又、今回の決定においてもその様な事実は指摘されておりません。当社としましては、抗告審において、これらの点を含め、当社における特別委員会を通じた手続の公正性等を強く主張していく方針です。」

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