不動産向け融資、特にアパート融資が増えているという記事。26日の日経1面で大きく取り上げていました。
「金融機関による2016年の不動産向け融資が12兆円超と過去最高を記録した。背景の一つが相続対策のアパート建設だ。人口減社会には似つかわしくないミニバブル。まだ局所的とはいえ体力の弱い地域金融機関が主役だけに金融庁や金融界からも不安の声が上がる。米リーマン危機を引き起こしたサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の「日本版にもなりかねない」(大手銀行首脳)。」
全体の状況は...
「日銀によると16年の全国の不動産融資は前年から15%増の12兆2806億円で統計のある1977年以降で最高。バブル期も上回った。アパートローンも同21%増の3兆7860億円と09年の統計開始以来、最高に達した。貸家の新設着工件数も41万8543件と8年ぶり高水準だ。
理由の一つは、15年の税制改正で相続税の課税対象が広がったことだ。アパートを建てると畑や更地などより課税時の評価額が下がるため地主らが相続税対策で一斉に建築に走った。マイナス金利で貸出先を模索する金融機関も融資に動き、東京都の郊外などにとどまらず東北や山陰といった地方部にも異様なアパートラッシュが広がった。」
一つの地域にアパートが急に増えたり、アパート経営でトラブルや大きな損失が生じたりといったエピソードがいくつか紹介されています。
リスクの把握急ぐ(日経)(記事冒頭のみ)
金融庁も実態を調べているそうです。
「借り手には相続対策が必要な富裕層が多いこともあり、返済不能になっても担保の土地を没収すれば銀行の懐は痛まない。ただ人口が減り続けている地方都市で担保価値は長い目でみて目減りしていくはずだ。調査では給与から返済している事例も見つかった。金融庁幹部は「担保を取っているから安全という問題ではない」と過度な融資増に警鐘を鳴らす。
ある銀行幹部は「アパート融資の一部は流動化し投資家に売られている」とも明かす。...」
自分の土地(立地条件が良い場合のみ)に余裕資金でアパートを建てるのであれば、それほど大きなリスクにはならないのでしょうが、それでは、相続税の節税効果が限られているので、大きな借金をしてまでやるのでしょう。しかし、下手をすると、相続人に、借金と不良資産が残されることにもなりかねません。(銀行は損しないように計算しているのでしょうが)
また、流動化しているというのは知りませんでした。
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