新日本監査法人が、架空循環取引をやっていたIXIの破産管財人から損害賠償を求める訴訟を提訴されたという記事。
読売新聞(大阪版)の9月1日の記事によると、管財人は、2005年3月に会計士協会会長が通達を出して情報サービス産業の監査への注意喚起をしていたことを重視して、通達以降は、IXIの架空取引の可能性を認識できたはず(であるのに監査人は何もしなかった?)と主張しているようです。
IXIのケースでは2006年9月中間期には監査意見を出さなかったので、監査人は最低限の役目は果たしたとも言えますが、通達以後、2005年と2006年の2回の決算について、結果として不正を見逃していたことになり、原告はその点をついているのでしょう。
会計士協会会長の通達というのはこれです。↓
会長通牒「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けて(監査人の厳正な対応等について)」
具体的には、この会長通牒のなかでふれているプロジェクトチームの報告書が重要です。
IT業界における特殊な取引検討プロジェクトチーム報告「情報サービス産業における監査上の諸問題について」
この中の「異常な商社的取引に対する留意点」は、9月中間決算を前にもう一度読んでおいてもいいかもしれません。「証憑等が形式的には整合している場合が多く、複数の情報サービス企業を介在しているため、取引実態が非常に判別しにくい」と書かれているのは、被告である監査人にとっては有利な事情でしょう。
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