JTのカナダ子会社などに対して損害賠償を求めていた集団訴訟の第1審判決が、カナダ・ケベック州の裁判所であったという記事。JT子会社側が敗訴しています。
「日本たばこ産業(JT)は2日、「たばこの危険性や中毒作用について消費者に知らせなかった」などとして現地住民がカナダ・ケベック州のJT子会社などに損害賠償を求めていた集団訴訟の第1審判決で、ケベック州上位裁判所がJT傘下のJTIマクドナルドに約20億カナダドル(約2000億円)の支払いを命じたと発表した。JT側は判決を不服として控訴する方針だ。
判決は1日に出され、JT子会社に対し、7月26日までに約1億4200万カナダドル(約142億円)の支払いを求める仮執行命令も下した。」
「同社は「判決が2015年12月期連結業績に与える影響はない」と説明している。」
JTカナダ子会社などに計1.4兆円超の賠償命令、健康めぐる訴訟(ロイター)
訴訟全体ではたばこ会社3社に150億カナダドル(約1兆4944億円)超という巨額賠償金です。
「ケベック州の喫煙者と元喫煙者の約10万人からなる原告団は、たばこ会社ががんなどの病気を引き起こす有害な製品を販売していると1950年代から知っていたと主張し、消費者への警告が不十分だったとして賠償を求めていた。
1日の判決は、たばこ会社が控訴するか否かにかかわらず、判決から60日以内に少なくとも10億カナダドルを支払うよう命じている。」
「この集団訴訟が起こされたのは1998年で、カナダでたばこ会社を相手取った初めての民事訴訟となった。2012年3月に弁論が開始され、昨年12月に結審した。」
カナダ・ケベック州集団訴訟の第一審判決について(JT)(PDFファイル)
「本判決が当社グループの 2015 年 12 月期連結業績に与える影響はないと考えています。」
ということは、(1)最終的には訴訟に負ける可能性は低い、(2)負ける可能性は高いが最終的な賠償金を見積もることができない、(3)すでに損失計上して引き当て済み、(4)この子会社を買収するときに引き当て済み、というケースが考えられますが、どれなのでしょうか(他にもあるかもしれません)。
同社の2014年12月期有報を見ると、連結財務諸表(IFRS)の「偶発事象」の注記でふれています。「カナダにおいて8件の集団訴訟が係属中」とのことです。各訴訟の概要も書かれています。
1990年代にたばこ訴訟を取り上げた小説が書かれているぐらいですから、たぶん想定内なのでは。
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陪審評決〈上〉 (新潮文庫) ジョン グリシャム John Grisham 新潮社 1999-09 by G-Tools |