対純資産比率は6%どまり 海外M&A、余力大きく(記事冒頭のみ)
日本企業は、のれんの金額が増えているものの、純資産に対する比率は、欧米企業より低いという記事。
「日本企業はM&A(合併・買収)の際に資産計上する「のれん」の水準が欧米企業より低位にとどまっていることがわかった。大型買収の増加で上場企業によるのれん計上額は10年前の2.3倍に膨らむ半面、純資産に対する比率は6%にとどまる。のれんを定期償却しない欧米企業は同比率が平均4~5割に達し、買収先の収益が悪化すれば財務が一気に毀損する。財務リスクを抑えてきた日本企業のM&Aの余力はなお大きそうだ。」
こういう日経のあおりには、乗らない方がよいと思いますが...。
同じ企業買収でも、株式交換でやるか(現金支出はなく純資産も増える)、借入をして現金で買収をするかによっても、財務的なリスクは違ってきます(日本企業は現金買収が多いのでは)。のれんの金額や比率だけで判断はできないでしょう。また、日本企業の株価低迷時期が長くて、国内の買収では、のれんが発生しにくいということもあったのかもしれません。
のれんの金額が大きい日本企業の表には、ソフトバンク、JT、NTT、武田薬品工業、キヤノン、電通、富士フイルム、ソニー、KDDI、三菱ケミHDが、挙がっています(金額が大きい順)。ソフトバンク、JT、武田薬品工業、電通は、純資産の5割を超えています。
日経も、さすがに、武田薬品に関しては要注意と考えているようです。
「日本でも武田薬品工業が5月、アイルランド製薬大手シャイアーの買収で基本合意した。日本企業のM&Aで最大となる7兆円弱の買収額は3兆円強の自らの時価総額を大きく超える。武田ののれんはすでに1兆円と日本企業で4位。シャイアーの株価に約6割のプレミアムを払う買収でのれんはさらに約3兆円積み上がる可能性がある。」
製薬会社ですから、のれんだけでなく、減損の可能性が高い、のれん以外の無形資産の金額も大きいのではないでしょうか。
記事の中の表でのれんの金額が欧米企業で最大とされるABインベブのアニュアルレポート。
http://www.ab-inbev.com/content/dam/universaltemplate/ab-inbev/investors/reports-and-filings/annual-and-hy-reports/2018/03/ABI-Annual-Report-2017.pdf
監査人はデロイトで、KAMも書かれています。のれんなどの減損に関する監査対応についてもふれていますが、一般的な内容でたいしたことは書かれていません。
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