会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

仕訳のパターンに着目した会計仕訳の分析手法(新日本監査法人「情報センサー」より)

仕訳のパターンに着目した会計仕訳の分析手法

デジタルトランスフォーメーション(DX)の例として、会計仕訳の分析や異常検知に関する新日本監査法人の新しい手法を紹介した記事。「伝統的なT字勘定分析の進化版」だそうです。

「本稿では、会計仕訳のパターン(借方・貸方の科目の組み合わせ)に着目した分析手法や、仕訳パターンと機械学習や統計手法を組み合わせた異常検知手法を紹介します。こういった手法は内部監査や管理部門における財務分析においても状況把握や異常点の識別に役立つと考えられます。」

従来からの異常な仕訳パターンを検出するというのに加えて、この手法では「1つの仕訳パターンの中でのデータの分布に着目したアプローチ」をとるのだそうです。

「例えば、ある仕訳パターンに該当する仕訳のみに着目し、起票者は誰がどのくらいの割合で計上しているのか、損益影響額はどう分布しているのか、起票日と計上日のずれの分布、そのほかビジネスユニットや上流システム、手入力・システム入力などさまざまな仕訳に付随するデータの中で分布を見ることで、通常と異なる特異なものを見つけるというアプローチが考えられます。...こういった視点で通例でない状況を特定し取引の詳細な検証を行うことで効率的にリスクを特定できる可能性があります。」

新日本では、すでに、こういう分析を行えるようなシステムを監査チームに提供しているそうです。

「当法人では、すでにこのような分析をシステム化し監査チームに提供するオペレーション体制が整備されています。高度な分析により会計仕訳全体から効果的にリスクのある仕訳を識別するソリューションの開発を進めており、今後もよりさまざまな分析ツールを展開予定です。」

こういうのを読むと、監査に役立ちそうな気もしますが、具体的に、監査報告書発行までの一連の監査プロセスの中のどこでどのように使うのかが、よくわかりません。

仕訳テストの準備として行うのか、それよりずっと前の会社の業務を理解する段階でやるのか、あるいは実証手続としてやるのかなど、いろいろ考えられます。新日本の監査実務の中ではどのような位置づけになっているのか知りたいところです。

もちろん、新しい手法ですから、無理に従来の手続に当てはめず、汎用的なツールのひとつと考えた方がよいのかもしれませんが...

こちらの日経記事では、EYの人が新技術活用も含めたサステナブル経営支援を語っています(宣伝記事?)。

戦略立案から寄与 AIで課題解決も 滝沢徳也EY Japanチーフ・サステナビリティ・オフィサー(日経)

「監査・税務、コンサルティングなどを手掛けるEY Japan(東京・千代田)が企業のサステナブル(持続可能)経営支援に力を入れている。温暖化ガス削減策や環境に優しい製品の開発など戦略立案から情報開示のあり方まで幅広く指南。人工知能(AI)も活用し、効果的な情報開示のための環境整備もしている。滝沢徳也チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)は「戦略から開示までの相談に対応でき、世界での地理的ネットワークを持つ強みを生かしたい」と強調する。」

記事を読むと、AIのことはごく一部だけです。

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