会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

大手監査法人が関わる監査人交代事例4件、現監査人の継続辞退も

大手監査法人が関わっている最近の監査人交代事例です。現監査人からの継続辞退や「会計監査人再評価制度」による交代もあります。

1.天馬(東証1部)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

あずさ→監査法人ハイビスカス、の交代です。

あずさ監査法人から、退任の申出があったそうです。

「当社は、当社海外子会社において認識された不適切な金銭交付の疑い(以下「本件事案」といいます。)に関し、第三者委員会を設置して調査を進め、2020 年3月 13 日付けで第三者委員会より調査報告書を受領し、過年度決算の訂正をするとともに、2020 年4月2日付けで調査報告書(公表版)を公表し、2020 年5月1日付「再発防止策の策定等に関するお知らせ」にて、当社における関係者の処分及び再発防止策をお知らせいたしました。あずさ監査法人からは、本件事案について適時適切な説明・報告がなく、信頼関係が損なわれているとして、監査契約の継続に難色を示されることとなり、協議を重ねてまいりましたが、今般、正式に任期満了での退任の申し出があったことを踏まえて、上記 3 の理由により、後任として新たに監査法人ハイビスカスを選任する議案の内容を決定いたしました。」

「当社監査等委員会が監査法人ハイビスカスを候補者とした理由は、独立性、専門性、品質管理体制等の観点から監査が適正に行われると評価したことに加えて、会計監査人の交代により新たな視点での監査が期待できることから、適任と判断したものであります。

当サイトの関連記事(天馬の海外公務員金銭交付疑惑について)


2.平和不動産(東証1部)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

東陽監査法人→あずさ、の交代です。

「会計監査人再評価制度」を導入したのだそうです。

「当社の会計監査人である東陽監査法人は、2020 年6月 24 日開催予定の第 100 回定時株主総会終結の時をもって任期満了となりますが、当社はこれまで同監査法人から適切かつ妥当な会計監査を受けてきたと判断しております。

しかし、会計監査の充実に向けた努力が重ねられるなか、監査役会は、監査法人の品質管理等について客観的に把握する観点及び現任会計監査人による継続監査年数が長期に及んでいることに鑑み、「会計監査人の選定基準」及び「会計監査人の評価および再任の判断の基準」の見直しを行うとともに、継続監査期間 10 年ごとに再評価を行う「会計監査人再評価制度」(以下「本制度」という。詳細は下表参照。)を導入いたしました。

本制度は、現任会計監査人と他の監査法人とをこれまでの当社における監査実績等を考慮することなく比較評価する機会を定期的に設けることによって、同一監査法人の再任が継続するなかでは見えてこない部分を把握し、継続的に会計監査の実効性を高めようとするものであります。本制度の導入に当たっては複数の監査法人へのヒアリング等を実施し、その内容の充実を図るように努めました。

監査役会では、本制度に基づき、現任会計監査人を含む複数の監査法人に提案を求め質疑を行い、これらを比較検討いたしました。その結果、当社の経営や事業環境の特性に即し、新たな助言や会計監査業務の効率化等への期待を含め総合的に勘案し、会計監査人として有限責任あずさ監査法人の選任を内定いたしました。 」

これからは、こういうのが監査人選任のよい事例ということになるのでしょう。監査人側は10年に一度、テストを受けるのはたいへんそうです。

3.日東ベスト(ジャスダック)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→太陽、の交代です。

監査報酬増額の提案がきっかけだったそうです。

「当社は、会計監査人であるEY新日本有限責任監査法人による適正な監査を受けておりますが、同監査法人の監査継続年数は当社の株式公開以前からの長期にわたっております。また、同監査法人より、監査に関わる諸状況の変化により、第83期の監査報酬の増加について提案を受けました。

そこで、当社の事業環境に鑑み、新たな視点での検討、かつ客観的に監査及び監査費用の相当性を判断することが必要との理由により、他の監査法人との比較検討を行い、その結果、新たに太陽有限責任監査法人を会計監査人として選任する議案の内容を決定いたしました。 」

4.大丸エナウィン

会計監査人の異動に関するお知らせ

トーマツ→ひびき監査法人、の交代です。

監査継続年数が長期であることなどが、交代理由となっています。

「当社の会計監査人である有限責任監査法人トーマツは、2020年6月26日開催予定の第70回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。現在の会計監査人の監査継続年数が33年と長期にわたっていること、ならびに当社の事業規模や近年の経営環境に見合った会計監査人を検討した結果、上記3.の理由により、新たにひびき監査法人を会計監査人として選任するものであります。」

「監査等委員会がひびき監査法人を会計監査人の候補者とした理由は、当社の事業規模に応じた機動的な監査が期待できることに加え、会計監査人としての独立性および専門性、ならびに監査報酬の水準などを総合的に勘案した結果、当社の会計監査人として適任と判断したためであります。」
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