自民党日本経済再生本部の「金融資本市場・企業統治改革グループ」による具体的な政策のとりまとめ作業に対して、金融庁が消極的だという記事。
「今年の最大の"戦場"は「金融資本市場・企業統治改革グループ」だという。日本の金融資本市場と、企業をとりまくコーポレートガバナンス(企業統治)のあり方を見直しているが、これに所管の金融庁が真っ向から抵抗しているという。「われわれが示した原案をことごとく拒否しており、まったくやる気がない」ととりまとめに当たっている中堅議員は怒りを隠さない。」
公務員は国民全体の奉仕者なのだから、ことさら自民党の政策に協力しなくてもよいのではないかと思われますが・・・。
IFRSについては、以下のような状況だそうです。
「5点目が国際会計基準IFRSの導入促進。自民党は昨年6月に会計小委員会の提言として、「IFRSの任意適用の拡大」などを求めた。2016年末までに300社という具体的な目標も示している。また、IFRSを強制適用すべきかどうか、する場合にはどんなタイムスケジュールで実施するか、議論するよう求めていた。自民党は今回の提言で、300社の適用を実現するためのより具体的な方策を取ることを求める意向だという。
ところが金融庁はこれにも反対している、という。強制適用の是非などを議論するよう求められてきたにもかかわらず、昨年6月19日を最後に企業会計審議会ではIFRSの議論はされていない。「経済界などからIFRS反対論が再び噴出したら元も子もない」(金融庁幹部)というのが建前だが、要は国際化を進めるうえで、自らが泥をかぶる覚悟がないのである。」
泥をかぶるとか、かぶらないとかいう話ではなく、たぶん、金融庁としては打つ手がないのでしょう。すでに、任意適用の条件は大幅に緩められており、上場会社や上場予定会社は、ほとんど無条件でIFRSを任意適用できます(後で問題が生じて、IFRSを適用できるような体制ではなかったと叱られる可能性はありますが)。J-IFRSというIFRSのまがいものに望みを託している(あるいはこれを理由に時間稼ぎをしている)ようですが、これは、完全版のIFRSをもとにして、気に入らない規定のみを修正していくというものですから、そもそも完全版を導入できるぐらいでないと、使うことは難しいと思われ、期待ほど広く自発的に適用されることはなさそうです。そうすると、300社になるまで、時価総額などを基準にして大きな順に段階的強制適用をやるしかありません。経団連を説得して、その方向で決断することになるのでしょうか。
同じ磯山氏によるインタビュー記事。
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「日本企業の取締役は規律と知識が足りない」ーーN・ベネシュBDTI代表理事が語る「日本的ガバナンスの限界」(現代ビジネス)
「もともと投資銀行で日本企業に仕組債を売ったり、M&A(企業の合併・買収)のアドバイスをする仕事をしていました。バブル期に日本企業は相次いで米国の会社や不動産を買収しましたが、バブル崩壊後に売却を余儀なくされた時、お手伝いする事が多かったのです。その際、日本企業がいかにガバナンスが欠如しているのか痛感したのです。」
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