会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

証券監視委、日特建設への課徴金勧告・金融庁に

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有価証券報告書に虚偽の記載があったとして、証券取引等監視委員会が、日特建設に349万9999円の課徴金を支払うよう命じることを金融庁に勧告したという記事。「リース子会社が架空のリース資産を計上していた」そうです。

日特建設株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

2005年9月中間期、2006年3月期、2006年9月中間期で不正があったとされています。約10億円純資産が水増しされていたようです。

外部調査委員会より「最終答申書」を受領したことについて(平成19年8月)(PDFファイル)

会社の外部調査委員会の報告書では、会計監査でなぜ発見されなかったのかについてもふれています。

「社内調査では,会計監査において本件不正会計を発見できなかったことについて,何等の説明・言及がなされておらず,その点の調査・検証も必要である。この点,平成19年7 月25 日付けで監査法人保森会計事務所から回答書が出されており,その中で,リース資産の除却漏れについては,期中の予備審査で「リース資産減価償却明細表」のチェックを行い何度かAUDIT NOTE(監査指摘事項)に記載して,ハイテクリース及び日特建設の経理担当部門及び監査役に報告したことが書かれている。御社が監査法人からリース資産の除却漏れについて報告を受けながら,御社において,除却漏れが発生した原因及び指摘外にも除却漏れがないか否かにつき,担当者(坂本氏)にヒヤリングをする等の調査をやらず(ハイテクリースの会計帳簿作成体制の欠陥すなわち相互牽制の欠如に思いをいたすことなく),指摘事項の修正のみで済ませていたことは問題であり(同監査法人との連携がどのようなものであったかもはっきりしない),このことが本件不正会計の発見を遅らせた一因であるともいえる。」

これによれば、監査法人は、不正(リース資産の除却もれ)の一部を発見して会社に指摘していたものの、詰めが甘かったようです。単純な処理ミスだと解釈してしまったのでしょうか。

社内調査委員会最終報告について(平成19年7月)(PDFファイル)

こちらの報告書によれば、不正の具体的な内容は以下のとおり。2002年の決算から不正があったようです。

・ リース資産の除却処理が未処理によるリース資産の過大計上
・ リース資産の残価を過大に設定したことによる減価償却費の過小計上及びリース資産の過大計上
・ 架空リース資産及び架空売上の計上

子会社(リース会社)の取締役が、過去の不正やミスをごまかそうとして、さらに不正を拡大させた面があるようです。

「当初は、単純なリース資産の除却損の計上漏れ及び残価の設定方法について過誤であると考えた当該取締役が、独断で修正を加えていったものです。決算時期に事務処理ミスが散在していたので、当該取締役はそれらを時間のある限りリース資産管理システムで除却処理や適切な残価を再入力し、修正しました。しかし、この修正結果が当社及び前代表取締役に報告済みの損益に対して影響してしまうことになるので、その修正結果に相当する金額をリース資産として計上し、損益に影響させない処理が行われました。」

改善報告書の再提出について(PDFファイル)

処分ついでに、保険会社への処分も紹介します。

アリコジャパンに対する行政処分について

公取委による排除命令を後追いしたような処分です。これについては、次のような憶測記事もありました。

“聖域”アリコについにメスが! 金融庁が手を出せないワケ
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