<独自>日産“下請けいじめ”の実態 部品メーカー「減額断れば切られる」【WBS】
日産自動車が下請法違反で公正取引委員会に勧告を受けたことに関連して、下請けメーカーから不当な取引の実態を聞いた記事。
「「減額要求はもう毎回ある。半額っていうケースもあるし、2~3割引きっていうのは、もう当たり前に起きている事象。それに対してあらがうということであれば、切られてしまう」(日産と取引のある自動車部品メーカー社長)」
「今回の下請け法違反の認定について、インタビューに答えた部品メーカーの社長は「誰がどういうタイミングでどういうふうに声を上げて、これが明るみに出たのかについては非常に興味深い。おそらく商談からその会社は外される。それが実態です」と語ります。」
「部品メーカーの社長によれば、日産からは注文数と短い納期だけが示され、業者は間に合わせるべく部品を製造。納品時に支払金額を請求すると2~3割、多いときは5割ほど減額を強要されたといいます。」
「「年間の売り上げに応じて年度末に“合理化要請”というのが必ず来る。“上納金”的な『年間でいくら売り上げがあったよね』『あと何%差し出してよ』ということに対して応じた、応じないということで、次の仕事の受注量が決まってきてしまう」(部品メーカーの社長)」
「日産だけでなく、その1次下請けの日産系企業が年間の売り上げに対して数%分を納めるよう求めていたというのです。その名目は、合理化要請だったといいます。」
日産の取締役会で問題になり、取引先に対してアンケートを取ったことがあったそうです。
「この日産の独自調査について、公正取引委員会の幹部に尋ねると「そのアンケート調査は機能していなかったということだ。日産が行うアンケートに『減額された。問題だ』などと下請け企業が書けるわけがない。アリが象に立ち向かうようなもので、吹けば飛んでしまう」と話しました。」
会計的にも問題です。発注段階で条件が示されない上納金であれば、それは仕入れの減額というより、下請けからの受贈益(営業利益ではない)かもしれません。あるいは、翌期以降の割り戻しの先行計上とみなすことができるかもしれません(かつてのダイエーはそれをやっていたといわれていました)。税務的には、契約上受け入れる理由がない減額を承諾することが寄付金になるおそれもあるのでは(債務免除と同じ)。
(令和6年3月7日)日産自動車株式会社に対する勧告について(公正取引委員会)
「2 違反事実の概要
⑴ 日産自動車は、資本金の額が3億円以下の法人たる事業者(以下「下請事業者」という。)に対し、自社が販売する自動車の部品等の製造を委託している。
⑵ 日産自動車は、令和3年1月から令和5年4月までの間、自社の原価低減を目的に、下請代金の額から「割戻金」を差し引くことにより、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減じていた。減額した金額は、総額30億2367万6843円である(下請事業者36名)。
⑶ 日産自動車は、令和6年1月31日、下請事業者に対し、前記⑵の行為により減額した金額を支払っている。」
氷山の一角でしょう。