なぜGEは凋落したのか?...その原因を探るヒューマン・ドキュメント
当サイトでも何回か取り上げた「GE帝国盛衰史」の書評記事。
GEの凋落は会計の問題と結びついていたようです。
「最初に登場するのは2018年、在任期間14カ月で解任された最短のCEO、ジョン・フラナリーだ。
GEヘルスケアのCEOから抜擢されたフラナリーは、GE最大の工業分野の事業会社GEパワーの財務諸表を見て驚く。キャッシュ不足に陥っており、GEパワーの利益は、よく見ると、ほとんど帳簿上の数字にすぎなかったからだ。
世界の電力の3分の1を発電するタービンの販売と、その保守サービス契約によって利益を上げているように見える。だが、サービス契約がもたらす売上は帳簿上のもので、実際には現金はまだ入ってきていない。また、完成品と部品の在庫が膨れ上がっていた。」
「 期末にはお約束のように「帳尻合わせ」が行われた。こんな風に。
「GEキャピタルが保有する膨大な資産から、換金できるチップがふんだんに提供されたからだ。四半期末の雲行きが怪しくなると、何かが売却された。ビル、駐車場、飛行機など、宝箱の中の何かを売れば、簡単に数字をつくることができた」
エジソン・コンデュイットという特別目的会社を使った巧妙な仕組みもあった。しかし、エンロンをはじめとする会計不祥事をきっかけに2002年、米国企業改革法が成立し、それまでの方法が通用しなくなった。」
ウェルチのやったことは...
「 金融サービス部門を拡充し、最盛期には、GEキャピタルはGEの総利益の半分以上を生み出すまでになった。「米国で最も有名な製造企業は、実質的には、米国で最も大きく、最も謎めいた銀行の一つになっていたのである」...
また、「ランク・アンド・ヤンク」(ランク付けして引っこ抜く)という人事手法も恐れられた。管理職に部下のパフォーマンスの年間ランキングを作成させ、下位10%の社員にはその旨を通知し、改善がなければ解雇するというものだ。」
土曜日の日経の書評欄でも大きく取り上げていました。
GE帝国盛衰史 トーマス・グリタ、テッド・マン著 米巨大企業、なぜ凋落したか(日経)(記事冒頭のみ)
「景気後退と同時テロは,世界経済の成長を鈍らせ、エンロン事件に伴う会計ルールの変更によって、確実な帳簿上の利益がなくなってしまったところに、リーマン・ショックが起こる。それまで、大きなミスを犯しても、GEの規模はそれを吸収してきたがGEを取り巻く世界はあまりにも変わってしまった。」
エンロン事件については、こちら。小説ですが、特別目的会社をつかった会計操作なども説明されています。