会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

<東芝子会社>米WH、市民ら電気代転嫁に不安と反発(Yahooより)

<東芝子会社>米WH、市民ら電気代転嫁に不安と反発(毎日新聞配信)

東芝の子会社ウェスチングハウスが原発を建設しているサウスカロライナ州の状況を伝える記事。

「東芝が、子会社の米原子炉メーカー、ウェスチングハウス(WH)の米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用申請を検討していることに対し、WHが原発を建設中の米南部サウスカロライナ州で不安と反発が広がっている。」

「同州は建設費用を原則的に電気料金に転嫁できる総括原価方式を採用。既に一部は転嫁され、2009年以降9回にわたる値上げで、料金の上昇幅は平均18%にのぼる。費用が膨らんだ分だけ料金が上がる総括原価方式に、中小企業商工会議所のフランク・ナップ会頭は「電気代が制御できないことに州民は憤っている。電力会社に白紙の請求書を渡すわけにはいかない」と話す。

WHはコロンビアの北約50キロの地点でVCサマー原発2、3号機の建設を進めている。当初は16年と19年の運転開始を見込んだが、東京電力福島第1原発事故後、米国も規制を強化し、工事は大幅に遅延費用は大きく膨らんでいる

地元関係者によると、州内の不満を背景に発注元の地元電力会社とWHは15年、電力側が一定の費用を負担する半面、それ以降に発生する追加コストはWHが負担し、東芝が保証することで合意した。20年4月と20年12月の完成予定を守れなければ、東芝は一段のコスト増加で損失が膨らむ恐れがある。

東芝は地元との合意内容の見直しや破産法11条申請を通じた条件変更で、追加コストを電力側にも負担してもらうことを模索するが、同州政府担当局長のデュークス・スコット氏は「現行契約の維持が州民にとっての利益だ。変更に応じる理由はない」と容認しない考えだ。」

原発建設コストは誰かが負担しなければならないわけで、東芝が、チャプター11を脅しに使い、東芝・WH側に有利な契約変更を電力会社にのませれば、電力料金にはね返って、住民の反発を買い、政治問題にもなるでしょう。あるいは、コスト増で発注者である電力会社まで破綻してしまうと、東芝・WHは契約で決まった工事代金まで受け取れなくなるおそれもあります。

そう簡単に、この泥沼から抜け出ることはできないように思われます。

誰が負担するにせよ、建設コストを抑えることが重要なわけですが、この記事を読むと、ますますコスト増になるようです。

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(日経ビジネス)

「東芝が生き残るには、WHにチャプター11(米連邦破産法11条)を適用し、原発建設から撤退するほか道はない。

 理由は大きく2つある。「米国で建設中のAP1000(注:原子炉の型式)には設計に関する問題がある」。そして「今のWHの体制では、納期通りに建設するのは難しい」。

 東芝は親会社としてWHの債務を保証している。破産法を申請して原発を完成できないまま撤退すれば、8000億円近くの違約金を支払うよう米電力会社から求められる恐れがある。財務状況が厳しい東芝にとって容易に取れる選択肢ではない。それでもなお、原発建設から撤退した方が傷は浅くなると、複数の関係者は指摘する。」

設計の問題(もともと施工が難しい設計だった)のほか、ノウハウの伝承が途絶えている問題(熟練作業員や現場監督の不足)、コミュニケーション不足、WHを東京の本社が制御できないことなど、さまざまな解決困難な問題があるようです。

破産法適用すべきという理由は...

「想定通りに建設工事が進まなかった場合、WHは「固定価格契約」によってコスト超過分を負担する必要がある。さらに税制優遇関連の賠償を求められると、追加の損失額は数千億円規模に膨れあがる恐れがある。

 WHが破産法の適用を申請して認められれば、こうした複雑な契約や将来の債務を整理できる可能性がある。金融機関や米政府などとの調整が必要になるため実際に申請できるかは不透明だが、リスクを限定するには最善の方法だろう。法的整理を通じてWHが身軽になれば、新たな支援先が登場することも期待できる。このままの体制でずるずると建設工事を進めるだけでは、再生への道筋は描けない。」

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(日経ビジネス)
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