法務省は、「会社計算規則」の一部改正案を、2009年8月5日付で公表しました。
今後改正される予定の連結財規の規定により、連結財務諸表を指定国際会計基準に従うことができるものとされる株式会社の作成すべき連結計算書類について、当該指定国際会計基準に従って作成することができることを明確にし、また、これに伴う所要の措置を講じるための改正です。
2010年(平成22年)3月31日以後に終了する連結会計年度に係る連結計算書類について適用される予定です。国際会計基準の任意適用時期と同じです。
新旧対照表をみると、120条として「国際会計基準で作成する連結計算書類に関する特則」という規定が設けられています。「米国基準で作成する連結計算書類に関する特則」はなくなりますが、経過措置で、当分の間、米国基準による作成も認められます。
もしかすると問題になるかもしれない点が一つあります。
「・・・第一章から第五章までの規定により第六十一条第一号に規定する連結計算書類において表示すべき事項に相当するものを除くその他の事項は、省略することができる。」(改正案の120条第1項より)(注:現行の120条にも同様の規定あり)
(注:会社計算規則、第三編 計算関係書類の第一章から第五章までは、第一章 総則、第二章 貸借対照表等、第三章 損益計算書等、第四章 株主資本等変動計算書等、第五章 注記表です。)
要するに財務諸表(注記事項を含む)の一部を省略することができるという規定です。特に注記事項が問題になると思いますが、注記も財務諸表の構成要素であり、会計基準で求められている注記は本来すべて行うべきでしょう。IFRSが注記の網羅性に関してどの程度厳格なのかはよくわかりませんが、厳しく考えれば、IFRSが要求している注記事項を一部省略した財務諸表(計算書類)は、IFRSに準拠して作成したものではなく、「IFRS+会社計算規則の省略容認規定」に準拠したものになってしまいます。
その点も考慮したのか、改正案では「前項(注:120条第1項)後段の規定により省略した事項がある場合にあっては、その旨」を注記させることになっています。
これで一応解決したといえるのかもしれませんが、しっくりこない感じはします。監査報告書の書き方なども工夫が必要でしょう。素直にIFRSに準拠しているとは書けないのではないかと思います。
日本電波工業、国際会計基準の採用検討=日本企業第1号の可能性も
「日本電波工業は5日の決算記者会見で、欧州などで採用されている国際会計基準について、任意適用段階からの早期採用を検討していることを明らかにした。」
普通の会社はやめておいた方が無難でしょう。
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