企業会計基準委員会は、「公正価値測定及びその開示に関する論点の整理」を、2009年8月7日付で公表しました。
公正価値(時価)の概念、その測定方法及び開示について、以下のような論点がまとめられています。
【論点1】公正価値の概念
[論点1-1]公正価値の定義
<論点1-1-1>市場参加者の視点
<論点1-1-2>秩序ある取引
<論点1-1-3>参照市場の前提
<論点1-1-4>出口価格の概念
<論点1-1-5>ビッド・アスク・スプレッド
[論点1-2]当初認識時における公正価値
[論点1-3]資産又は負債に固有の属性
<論点1-3-1>資産の売却や使用に関する制限及び取引費用等の取扱い
<論点1-3-2>負債の公正価値測定における不履行リスクの取扱い
[論点1-4]取引量に応じた割引・割増要素の取扱い
[論点1-5]最有効使用の仮定に基づいた公正価値測定
【論点2】公正価値の測定方法
[論点2-1]公正価値のヒエラルキー
[論点2-2]市場が活発ではなくなった場合における公正価値測定
<論点2-2-1>市場が活発ではなくなった場合における公正価値測定
<論点2-2-2>ブローカー等の公表価格の利用
【論点3】公正価値測定に関する開示
報道では、金融商品(特に有価証券)の時価算定方法別の開示(論点3に該当)のみを取り上げているようですが、公正価値の概念やヒラエルキー(測定に用いられるインプットに基づく序列)も論点整理の対象です。また、金融商品だけでなく、公正価値を使って測定される資産・負債や注記項目も、対象としています。
各論点の結論部分(今後の方向性)で重要と思われる点は以下のとおりです。
論点1関係
・我が国においては、時価について入口価格と出口価格の両方に言及されているが、公正価値の概念を整理する上では、国際的な会計基準の考え方と同様に移転概念に基づく出口価格に統一する方向で検討してはどうかと考えられる。(ただし、公正価値概念を出口価格に統一しても、特定の資産又は負債の測定に入口価格を用いることを否定するものではないとされています。)
・国際的な会計基準における取引価格が当初認識時における公正価値を表さないケースは、市場参加者の視点、秩序ある取引、参照市場といった公正価値の定義を構成する要素を満たさないケースなどが個別に示されているものと考えられるため、我が国においても同様の例示を取り入れる方向で検討してはどうかと考えられる。
論点2関係
・国際的な会計基準のように公正価値のヒエラルキーを導入することにより、公正価値測定の透明性及び比較可能性が高まるという意見もあるため、我が国においても当該ヒエラルキーを導入する方向で検討してはどうかと考えられる。
論点3関係
・公正価値のヒエラルキー別の開示を導入することにより、透明性や比較可能性が高まるという意見もあるため、我が国においても当該ヒエラルキー別の開示を導入する方向で検討してはどうかと考えられる。
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