欧米主要金融機関などが、米大手証券リーマン・ブラザーズ向けのデリバティブ取引を手じまうための緊急取引を行ったという記事。国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)が同日、声明を出して明らかにしたそうです。
リーマンに対する直接的な投資や融資がなくても、リーマンを相手先とするデリバティブ取引の残高があれば、万一リ-マンが破綻した場合には、デリバティブ取引が契約どおり履行されず、損害を被る可能性があります。そうしたリスクを軽減することがねらいです。
Lehman Risk Reduction Trading Session and Protocol Agreement(ISDAのプレスリリース)
デリバティブ取引の技術的な点はよくわかりませんが、プレスリリースによれば、持ち高を相殺することによって、カウンターパーティ信用リスクを軽減することを目的とするものだそうです。ということは、こうした取引がうまくいっても、リーマンと取り引きしている金融機関や一般企業は、相殺した後に残るネットのポジションはリスクにさらされることになります。
ちなみに、日本の金融商品会計基準実務指針では、取引相手先の信用リスクはデリバティブ取引の時価評価に当たって加味するとされています。
This exercise is designed to mitigate counterparty credit risk through the establishment of offsetting positions with other market participants,
米住宅公社の信用デリバティブ、10月以降に前倒し清算
国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)は、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を対象とするクレジット・デリバティブについても、前倒しで清算する手続きに着手すると発表しています。ファニーメイとフレディマックは、米政府によって救済されるようですが、クレジット・デリバティブは、両社とは関係のない当事者が勝手にやっている取引ですから、何か混乱が起きても米政府が助けてくれるわけではありません。もっとも、両社が実際に破綻したわけではないので、予想外の大きな損失が生じることはないようです。
ISDA TO PUBLISH PROTOCOL FOR FANNIE AND FREDDIE
米住宅公社対象の信用デリバティブ、前倒し清算で巨額損失も
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