会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

シャープ、純損益2559億円の赤字 社長に鴻海の戴氏(朝日より)

シャープ、純損益2559億円の赤字 社長に鴻海の戴氏

シャープが2016年3月期で債務超過になったという記事。社長も鴻海から送り込まれるそうです。

「シャープが12日発表した2016年3月期決算は、純損益が2559億円の赤字(前期は2223億円の赤字)だった。赤字は2期連続。その結果、借金などの負債が株主らから集めた資産を上回る「債務超過」となった。

ただ、シャープは4月に台湾の鴻海精密工業から3888億円の出資を受ける契約を結んでいる。6月下旬以降を予定する出資が完了すれば、債務超過は解消できる見通しだ。

スマートフォン市場の伸び悩みで主力の液晶事業の採算が悪化し、営業損益が1619億円の赤字(前期は480億円の赤字)となった。在庫の評価を厳しく見直すなど減損などで670億円の特別損失を計上したことも響いた。

シャープはまた、鴻海の戴正呉副総裁を次期社長に迎えると発表した。6月下旬以降に鴻海が予定する出資を終えた後に就く。高橋興三社長は退任し、業績悪化の責任を示す。」

〈2016年(平成28年)3月期 決算資料〉(決算短信などへのリンクあり)

個別的な損失項目に関する開示もいくつかなされています。

中国販売子会社における売上割戻し及び販売促進費並びにこれに関連する特別損失の計上に関するお知らせ(PDFファイル)

「当社の中国販売子会社(夏普商貿(中国)有限公司)において、第4四半期における売上高の大幅な減少に伴う今後の取引方針の変更等により発生する売上割戻し及び販売促進費33,085百万円を売上高の控除並びに販売費及び一般管理費として処理し、そのうち、将来における支払見積額26,120百万円が販売促進引当金として計上されました。」

売上が減ったから、売上割戻しや販売促進費が増えたというのは、普通ではありません。本来売上に対応して計上すべきであったものを計上していなかったのでは。

買付契約評価引当金繰入額の計上に関するお知らせ

「ソーラーパネルの原材料(ポリシリコン)の評価価格の引き下げに伴い、契約上の購入価格との差額が拡大したため、買付契約評価引当金繰入額 7,703 百万円を売上原価に計上いたしました。」

会計上の見積りの変更によるたな卸資産評価損の計上に関するお知らせ(PDFファイル)

「当社は従来、ディスプレイデバイスカンパニー及び電子デバイスカンパニーのたな卸資産の評価基準について、取得から一定の期間を超える場合には原則として一定の率に基づき規則的に帳簿価額を切り下げた価額をもって貸借対照表価額としておりましたが、急激な価格下落及びたな卸資産の滞留状況等に鑑み、たな卸資産に係る収益性の低下の事実をより適切に財政状態及び経営成績に反映させるため、帳簿価額切り下げに係る一定の期間を短縮し、一定の率を引き上げることといたしました。

この結果、たな卸資産評価損 47,068 百万円を売上原価に追加計上いたしました。」

「取得から一定の期間を超える場合」だけ評価減するというのは、現行会計基準からして認められるものだったのでしょうか。あくまで、それで評価減すべきものをほとんどすべてすくい上げられるということが前提なのでは。また、評価額も(市場価格と関連性の乏しい?)「一定の率に基づき規則的に帳簿価額を切り下げた価額」でよかったのでしょうか。

特別利益及び特別損失の計上に関するお知らせ(PDFファイル)

監査人も交代します。

会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

あずさ→PwCあらた、の交代です。鴻海の監査人がPwCであることが理由となっています。あらたは、大王製紙、東芝、シャープと、問題を抱えている企業の監査契約を爆買いしているようにも見えます。

シャープ、最大7000人リストラの真実味(東洋経済)
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