日本公認会計士協会のサイトより、澤田副会長へのインタビュー記事です。
試験制度などを取り上げています。
個人的な意見と断っていますが、平成15年の試験制度改革に対して厳しい見方をしています。
「澤田:どういう順番でお話ししたらいいか。まず、平成15年の試験制度の改革のときに、数字だけ一人歩きしたというか、平成30年に50,000人、単年度2,000人から3,000人の合格者という話が出てきたわけです。その数字はいったいどのように弾き出されたのかということですが、実際はあまり詰め切れていなかったのではと思っています。これからの話は、澤田の私見であって、協会執行部のものではないということを最初にお断りしておいた方がよさそうですね。
従来、公認会計士試験は、基本的に監査人の育成を大前提とする合意があったのでは。「そんなこと、どこに明記されているのか。」という人がいらっしゃるかもしれないけれど、無意識のうちにそういうイメージを持っていたはずです。だから、当然のこととして、監査法人や会計事務所が一旦試験合格者をある程度吸収して、会計専門職が育成されていくという前提があったと思うんです。
ところが前回の議論では、非常にファジーだったかもしれないが、気が付いてみると、監査人に限定するんじゃなくて、広く経済インフラとしての会計実務家の養成というのが、全面的に出てきました。
私は、日本社会のリアリティからいって「本当にそうなの。」と思ったけれども、経済界からの意見もあって、議論の方向性は明らかに会計実務家の養成へ流れました。私は、底辺が拡大することは決して悪いことだとは思っていません。それが、公認会計士という資格を取得しなければならないかどうかは別として。財務や会計の実務家という底辺は広げるべきだと。ただ、「会計実務家が、すべて資格者でなければならないのか。」という議論が、欠けている感じがします。
当時、行政の認識として、一定の管理目標として、先の数字が出されたのですが、我が国のリアリティを踏まえ、十分に詰められたかどうかは、疑問が残ります。」
「公認会計士試験制度の議論というのは、金融審議会の公認会計士制度部会で30人以上いるメンバーの中で、公認会計士は3人ですよ。1回の審議会に発言できるのは、まず1回ですよ。そこでの議論は、試験制度だけの話ではなく、独立性の強化とか、公認会計士法の改正議論の中での1パーツとしての議論だったわけです。だから、僕から言えば、十分に議論をさせてもらったという気は全然していないですよ。」
いまさらそう言われても、という感じはしますが・・・。
「私自身は、多種多様な人材に大量に受験してもらって、その中からセレクトしようとするのもいいけれども、受験者は少なくても、本気でチャレンジする者を吸収する仕組みもあるのではないかと基本的に思っています。見せかけのパイが大きい世界よりも、一定の大学教育もきっちり受けてきて、その中で「おれは会計専門家になる。」という人たちが集まるような仕組みが考えられるのではないかと思っています。
だから、受験者は今の半分くらいでもいいと思うんですよ。その上で、十分な環境でトレーニングされて、そこからセレクトされていくというほうが本当はいいんじゃないかな。皆見せかけの受験者数に目がいっちゃうけども、真水のチャレンジャーが維持できるような仕組みのほうが、本当はいいんじゃないかなと私は思っているんですが。」
協会の公式見解とはちがうのでしょうが、同意できる部分もあります。
司法試験制度の問題とのちがいについてもふれています。
「弁護士の場合は純粋に就職問題ですが、こっちは試験制度そのものの問題なんです。公認会計士は実務に根付いた資格ですから、実務経験は重要な要件です。しかし、今の環境は公認会計士になれない人を試験制度の中でつくり上げる結果となっており、制度的に問題を抱えています。要するに、就職問題と試験制度は全く違うよとは言い切れない側面を持っており、そこが根本的に違う感じがしますね。」
受験生も合格者も、会計士業界が吸収できるレベルまで減らす、ただし、質は上げるという考え方でしょうか。
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