年金保険料などを活用して建設した社会保険庁の施設で、売却する予定だった絵画や彫刻などの美術品が、「耐用年数が経過した」として一律に購入価格の10%で評価されていて、会計検査院に指摘されたという記事。(記事によれば「会計検査院は美術品の資産評価を適性に行うよう求めた」そうですが、これは「適正」の間違いでしょう。)
資産売却の際の資産評価を「時価」ではなく、原価基準で行うこと自体も問題ですが、それはさておき、たしかに美術品を減価償却するのは理屈に合いません。民間企業の固定資産の処理の拠り所となっている法人税基本通達でも、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないとし、書画骨董を例に挙げています。
しかし、基本通達でも単に装飾的目的にのみ使用されるようなものは、減価償却資産だといっており、そのような資産であれば仮にその金額が大きくても償却することになります(記事では1700万円で購入した輪島塗の壁画を減価償却すべきでなかったといっていますが、単なる装飾品なら建物より長い寿命があるわけではないでしょう)。
また、書画骨董・美術品のなかで本当に後世に残すべき芸術的価値があり、減価しないようなものはごく限られているはずですから、明らかに高い金額で売却可能というものを除き、減価償却したからといって、間違いとはいえないと思います。
減価償却資産の範囲(これの7-1-1をご覧下さい。)
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