会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「延期報酬支払い、文書で約束」 日産元秘書室長が証言(朝日より)

「延期報酬支払い、文書で約束」 日産元秘書室長が証言

日産ゴーン事件のケリー氏の刑事裁判の記事。

報酬支払いの「合意文書」が証拠として示され、元秘書室長が証言したそうです。

「検察側が法廷で示した合意文書のタイトルは「11年3月末時点のゴーン氏の報酬に関する合意」。冒頭で「09、10年度の決定報酬の一部は支払いを延期しており、その金額と支払い方法を以下の通り確認する」と文書を意味づけている。

そのうえで09、10年度の報酬について「Fixed」(確定した総報酬)、「Paid」(支払い済み分)、「Postponed」(延期分)の3項目が並び、各金額を1円単位で明記。2年間で約10億3千万円に上る延期報酬の支払いについては「取締役を退任後2年間、相談役か顧問に就く。報酬の一部として、確定した延期報酬がゴーン氏の希望する通貨で支払われる」と約束した。末尾には、ゴーン元会長と大沼氏の直筆署名があった。」

これが、未払いの外注費を支払えといって下請け会社が元請けを訴えた裁判であれば、元請け会社の社長がサインした文書で未払いがあると記載されていれば、債務の存在に関する有力な証拠になるでしょう(支払い対象となる業務が実際に行われていることが前提ですが)。しかし、役員報酬は、会社法で定められた承認手続が踏まれていなければ、会社に支払う義務はないはずですから、ゴーン氏と秘書室長が金額を1円単位まで決めて、文書に残していたとしても、それは自分がほしい金額を書いたにすぎず、会社に費用の未払いがあることの証明にはならないように思われます。

日本の会社法は、社長が自分のほしい報酬金額を紙に書いただけで、そのままもらえるような、甘い法律なのでしょうか。

報酬の後払い「ケリー元役員が発案」 日産元秘書室長(朝日)

「大沼氏は、この「未払い報酬」を支払う方法として4案をまとめた11年3月作成の文書について説明した。文書は「ケリーさんの指示で作成した」と述べ、後に元会長が採用した「退任後に相談役報酬として支払う」案は「ケリーさんのアイデアだ」と証言した。

そのうえで大沼氏は「確定した報酬を違う名目で支払うことになるので、本来なら開示すべきだと思っていた」と違法性を認めた。文書には各案のメリットとデメリットも明記されており、「社内外にばれないようにすることが念頭にあった」とも説明した。

また大沼氏は、志賀俊之・元COO(最高執行責任者)、小枝至・元相談役とも、元会長の報酬を補塡(ほてん)する方策を協議したと明かした。「相談役報酬として支払う方式をベースに、(2人が)ゴーンさんに提出する書面を作ってほしい」と言われ、作成したという。」

コメント一覧

ポラ
この大沼という人物、日産の秘書室長をしていたようですが、役員でもない部長クラスではないかと思われる立場で、10億円を超える契約書を確定させる権限があると思っていたのでしょうか?
日産社内で適正な手続きもされていないようですし、仮に手続きを踏んでいたとしても署名者はゴーンとCOO、もしくは役員報酬を管轄する部門の所管役員だと思います。
「確定した報酬を違う名目で支払うことになるので、本来なら開示すべきだと思っていた」と言うのも、違法性を認めたと言うよりは法の趣旨を考えたら開示すべきものだったと考えた程度の話しではなかったかと思います。
元々合法的な方法を考えるように指示をされていたようなので、もし違法性を分かりながら案を取りまとめて自分も署名者として実行しておいて、検察と司法取引して自分は罪を免れようとすることは極めて背任的な行為で、こんなことが許されるのかなと思います。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事