会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

カスミ/子会社の不適切な会計処理で1億4800万円損失計上(流通ニュースより)

カスミ/子会社の不適切な会計処理で1億4800万円損失計上

スーパーマーケットのカスミ(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの子会社)が、子会社のカスミトラベルでの不適切な会計処理に関する調査結果を公表したという記事。

「不正計上が行われた期間は2008年から2015年で、架空計上された売上高は合計5613万8000円。2015年8月末日時点の架空売掛金額は5286万9000円、「仮払金」「立替金」等として出金され、未清算の不明金額814万9000円を認定した。

さらに、トラベル社が東京電力に対し、福島原子力発電所事故に伴う原子力損害賠償金の請求を行うに際し、架空売上高を含む決算情報に基づき、本来申請し得る金額を超過した原子力損害賠償金を申請し受領していた。

トラベル社が旅行業者登録有効期間の更新申請に際し、事実と異なる基準資産額を茨城県知事に申告していたこと等の事実を認定した。」

「カスミでは、連結で1億4800万円の損失を2016年2月期第3四半期にて計上する。」

当社グループ会社の不適切な会計処理に関する調査及び調査報告結果と当社対応について(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)

損失は、東京電力への賠償金の返還(合計 9,392 万 4,619 円)が大きかったようです。

不正の手口は...

「取引実体の無い架空の売上を計上することで、売上高の水増しを行っている。後述する売掛金の付け替えと架空売掛金の消し込みは、架空売上を隠蔽するための行為である。架空売上の計上の手口は、関与者が自らまたは店舗従業員に指示し、トリッパーに架空の旅行申込や旅行会社から受け取るリベートを、あたかも旅行申込や旅行会社から受け取るリベートが実在するかの様に情報を入力し、実在する取引として処理したものである。」

「関与者が自らまたは店舗従業員に指示し、トリッパーを操作して、架空の売上計上に伴い発生した売掛金を他の売掛金として付け替え入力すること、旅行出発日を先送り入力することで滞留売掛金として表面化しないようにすること、及び金額が多額となり明細の報告を求められないように金額を少額に細分化して入力することを行い、架空売上の隠蔽を図っている。」

「関与者が自らまたは店舗従業員に指示し、トリッパーを操作して、仮払金・立替金等の名目で資金を出金し、出金した資金をもって架空売掛金の消し込みに充当することで、滞留売掛金として表面化しないように処理していた。」

「関与者が自らまたは店舗従業員に指示し、正規の売掛金から回収した資金を、架空売掛金の消し込みに充当することで、滞留売掛金として表面化しないように処理していたが、一方で正規に回収した売掛金の残高が滞留することになった。」

架空売上計上隠ぺいのために、売掛金を操作していたようです。単純に、システムから出てきた滞留売掛金のリストを元にヒアリングするだけでは、不十分なのでしょう。

(「トリッパー」は、トラベル社において使用している業務用の基幹システム)
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