『野村證券 第2事業法人部』の著者、横尾氏へのインタビュー記事。結構厳しいことも聞いているようです。
オリンパスの粉飾に利用された新事業会社の売買について。
「――新事業3社株の売買はどうなんですか。極端に高い株価で売買され、その資金がオリンパスの損失隠しに使われたことが明らかになっています。横尾さんは全く疑わなかったのですか?
皆さんが一番疑問に思っていらっしゃるのは、新事業3社を、すごい価格で買い取ったことだと思いますが、これにも隠された事実があるのです。
「昔から親しくしている中国系投資家が3社に興味を持ち、3社株を購入したいと言ってきているので、ファンド(横尾氏らが管理していた事業投資ファンドのNeoとITV)の持ち株を売ってやってほしい」と、突然、オリンパスから電話があり、DDⅡとGTという2つの中国系ファンドから、入金があったのです。売却価格と株数は、オリンパスから聞かされました。第三者が、このような高価格で買ってくれるのですから、それを拒否したら、「期待利益の喪失」で訴えられてしまい、賠償請求されることは目に見えています。当然、従うしかありません。
――価格についての説明はありましたか。
ありませんでしたが、3社の事業内容は、当時の中国が必要としていたものばかりでしたから、中国国内での営業権の意味もあるのだろうと思いました。
――その後、NeoとITVが持っていた3社株を、GCNV(横尾氏のケイマン法人が管理していたオリンパスの事業投資ファンド)に移すように指示があったのですか。
そうです。売買価格を、DDⅡとGTが購入した価格と同様にしなければ、中国系投資家から訴えられてしまうと言われました。もちろん、オリンパスが、価格と株数を指定してきました。有価証券売買の基本ですが、第三者による直近売買事例は、守らなければなりませんから、指示に従わざるを得ませんでした。
実際には、DDⅡとGTは、中国系投資家のファンドではなくて、オリンパスの簿外SPC(ペーパーカンパニー)だったようですが、当時、私はそのことを知りませんでした。あとで、オリンパスの第三者委員会の報告書で知ったのです。...」
「――群栄化学工業に新事業3社の株を売ったことが詐欺の罪に問われていますが、横尾さんは当時、群栄化学にどのような説明をしたのですか。ウソの説明をしたのですか。
...
逆に、実現可能性の見込める事業計画であったという根拠はあります。オリンパス本体が3社株を引き取った後の、2007年3月と2008年3月の決算において、この事業計画で算出した事業価値(株価)を、あずさ監査法人は承認しているのです。ましてや2008年3月には、オリンパスは、更に高い価格(約2倍)で3社株を買い取っていますが、あずさ監査法人は、この株価でさえも承認しているのです。
すなわち、プロの監査法人が承認した事業価値(事業計画)だったとうことであって、実現可能性がない事業計画と言うことはできないということです。」
基本的にオリンパスの指示で動いていただけだという主張のようです。
野村證券時代の働き方について。
「――ご著書には、野村証券時代、客を客とも思わなかったような話が出てくるんですが、それはいいんですか?
どう言ったらいいんでしょうねぇ、検察官と一緒だと思います。「こいつは有罪にしなきゃいかん」となったら、無罪だと思っても有罪とやっていく。それといっしょで「仕事」だったですね。これは国が「ロクイチ国債」を出すんだから、これは国のためなんだから、となったら、抵抗のしようがない。
――本には、実勢価格が90円前後まで下落している「ロクイチ国債」を99円80銭で知識のなさそうな高齢者らに組織的に売りつけた話が出てきます。横尾さんは「これは国家が主導した兆円単位の詐欺事件に他ならない」と書いています。
ノルマを果たさなかったら殴られますし。それでも人格者でおれるかというと、ぼくは無理だったです。で、考えることは1億すっても絶対へこたれないお客さんだけを選ぼう、と。だから、他人の倍十倍努力してお客さんを集めたです。
――今の基準で見ると、当時の野村証券の職場というのは、パワハラにサービス残業のブラック企業だった?
まず早朝出勤1時間半くらい、絶対に時間外勤務につけちゃいかんし、夜8時くらいになったら支店長が「はい、解散」と言うんです。要するに、あとは残業代をつけちゃいかんよ、と。新人のときで平均して毎月百何十時間の残業をやってました。
一番残業をやったときは(月に)400時間くらいでした。朝4時より前に(会社を)出たことがないです。で、7時半からの会議をぼくが司会やってたんで。土日も同じように、朝会社に行って、明け方の4時頃まで仕事をしました。それに対して、何の疑問も感じていませんでしたから、不思議ですよね。」
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