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IASB 公開草案「持分法会計(IAS 第 28 号の改正案)」に対するコメントの検討(企業会計基準委員会)

IASB 公開草案「持分法会計(IAS 第 28 号の改正案)」に対するコメントの検討(PDFファイル)
第535回企業会計基準委員会の概要より)

IASBが、持分法の会計基準を改正する公開草案を、2024年9月19日に公表しました(→当サイトの関連記事)。

2024年10月29日開催の企業会計基準委員会では、それへのコメントを検討したようです。

会議資料を見ると、(持分法の本質に関する?)けっこう深い議論が背景にあるようです。

持分法会計には一行連結と測定基礎の両方の側面があるが、我々は、一行連結を原則としたハイブリッドであると考えている。IASB のアプローチは、どのような場合に一行連結又は測定基礎のアプローチを採用すべきかの整理を行わずして、持分法の会計処理を変更することを提案するものであり、持分法の適用に関連する諸問題の根本的な解決をもたらさないと同時に現在の実務を変更するためのコストを正当化しないと考える。」(4項より)

「我々は、IASBが異なる見解を踏まえて一行連結でも測定基礎でもないアプローチを導入することには反対であり、もし見解の相違を踏まえた検討が必要なのであれば、持分法の適用範囲に関する見直し(例えば、公正価値オプションの適用可能性など)の議論を行う余地もあり得ると考えている。」(5項より)

関連会社との取引で損益を全額計上する(未実現利益を消去しない)という案については...

「ED の提案は、関連会社に対する子会社の売却取引に関する IFRS 第 10 号と IAS 第28 号第 28 項5との不整合に着目したとしているが、ED の提案は、すべての「アップストリーム」及び「ダウンストリーム」の取引の会計処理に影響が生じるものとなっている。」(12項)

「(事務局の気付事項)

(1) 本資料第 4 項にも記載のとおり、我々は、持分法会計について、一行連結を原則としたハイブリッドであると考えている。ED の提案は、一行連結の典型的な側面とも言える関連会社との取引にかかる未実現損益に関する既存の要求事項を、測定基礎の考え方とも必ずしも結びつかない例外的な会計処理に変更することになると考えられるため、同意しない

(2) また、未実現損益の消去を認めないという ED の提案は、持分法適用投資先に対する重要な影響力を行使することにより、連結財務諸表の資産及び純利益を過大又は過少に計上するような取引を行うストラクチャリングの機会を投資企業に提供することとなる点も懸念される。

(3) 省略」

ということで、この論点に関しては、公開草案に反対意見のようです。

IASB 公開草案「持分法会計(IAS 第 28 号の改正案)」の概要(PDFファイル)

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