会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ベイン、東芝メモリの上場は3年後 WDとは対話で和解目指す(ロイターより)

ベイン、東芝メモリの上場は3年後 WDとは対話で和解目指す

東芝の半導体事業売却に関する記事。買収する方のファンドが記者会見でいろいろ説明したようです。

「東芝(6502.T)から半導体子会社を買収する「日米韓連合」の中心的な存在である米ベインキャピタルの杉本勇次日本代表は5日、記者会見を開き、東芝メモリを買収後3年で上場させる意向を明らかにした。」

東芝における会計処理にも影響する事業譲渡先(東芝発表によれば株式会社Pangeaという買収目的会社)への各社出資割合は...

「買収総額は2兆円となり、このうち出資金額は計9845億円。ベインが設立するSPC(特定目的子会社)が6070億円、東芝本体が3505億円を再出資、HOYA(7741.T)が270億円を負担する。

東芝とHOYAで議決権の50.1%を確保する。ベインのSPCには、韓国のSKハイニックス(000660.KS)が融資と転換社債(CB)などで3950億円を拠出。CBはTMCの議決権15%に相当するが、10年間はそれ以上の議決権を持たない契約となった。SKは、TMCの機密情報にはアクセスができず、技術流出は防げるという。

そのほか、アップル(AAPL.O)など米IT企業4社が社債型優先株4155億円、銀行が6000億円を融資するスキームとなった。」

ベインは2120億円(=6070億円-3950億円)しかカネを出さないのに、議決権は49.9%(=100%-東芝・HOYA50.1%)も保有するということになるのでしょうか。

また、東芝とHOYAとの間で議決権行使に関する何らかの取り決めがあれば、HOYAの持分を東芝持分に加えて支配を判定しなければならないかもしれません。そうすると、買収目的会社は東芝の子会社になってしまい、売却益はまったく計上できなくなります。HOYAの出資分というのは、全体から見るとわずかですが、東芝の会計処理には大きく影響するのかもしれません(だからHOYAに出資してもらった?)。

(ただし、東芝+HOYAで議決権50.1%というのは、計算が合いません。両社出資額合計は3775億円で、9845億円に対する割合は38.3%にしかなりません。)

東芝半導体事業売却の契約内容については、当サイトですでに取り上げていますが、そのときは、SKハイニックスの融資・CB分3950億円を、ベインの議決権に含めないで、東芝の議決権割合を推定していました。その場合、東芝だけで5割超になる計算です。

当サイトの関連記事

こちらの記事では、再出資3505億円は子会社株式の「クロス取引」ではないかと見ています。

東芝、メモリ事業売却で不可解な点…「クロス取引」で監査法人が問題視する可能性も(Business Journal)
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