日本公認会計士協会のサイトより、企業会計基準委員会の棚卸資産評価原則基準案への意見。
以下、重要な意見と思われるものを紹介します(表現は少し言い換えています)。
1.営業循環過程から外れた滞留または処分見込の棚卸資産の評価減について、「正味売却価額まで切り下げる方法に準じて」処理するという位置づけではなく、原則的な方法と位置づけるべきである。
(そもそも、棚卸資産なのに「収益性の低下」というあいまいな概念を使って基準を作ろうとしているのが間違っているのだと思います。減損会計基準でも「収益性」といっていますが、あくまで前文の理由付けのところで書いているだけで、基準本文では登場しない概念です。国際会計基準的に、回収可能な金額まで帳簿価額を引き下げるという考え方を使えば、滞留在庫の評価も、売却によって回収できる金額まで下げるということで、他の動いている在庫を同じ考え方で処理できます。学者に迎合してわかりにくい基準を作るのはやめてほしいと思います。また、「処分見込の棚卸資産」というカテゴリー自体がおかしい。処分見込かどうかという区分は、固定資産のように使用と処分という2つの利用方法が想定できる場合に意味があるのであって、棚卸資産の場合は、広い意味の処分(販売も処分です)しかありえないのですから、全く意味がありません。)
2.洗替え法と切放し法の両方を基準案では認めているが、洗替え法を強制すべきである。
(どちらの方法も理屈はあるのでしょうが、(税務調整も含めて)システム的には、洗替え法の方が簡単そうです。)
3.特別損失処理は認めるべきではなく、発生原因を問わず売上原価または製造原価に計上すべきである。
(この点は協会の意見に全面的に賛成です。)
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