2007年度税制改正で、投資額の全額を減価償却費として損金に計上する仕組みを、新規投資分だけでなく、企業の既存設備も対象にするという記事。
日経の26日朝刊によれば、「政府案は07年度から新規投資分は税法で決めた年数が経過した時点で、投資額の全額を損金に計上できるようにする」とのことです。そうだとすると、今まで耐用年数経過時点では取得原価の10%が残る計算方法だったのを、100%償却する方法(したがって残存価額ゼロ)に変えるということになります。
定額法の場合は、償却対象額を取得原価の10分の9ではなく100%にするだけでよいので、比較的簡単に変更できます。しかし、定率法の場合は、残存価額をゼロにすると償却率が計算できません。プラスの金額であれば償却率は計算できますが、それがあまり小さな金額だと、償却カーブがものすごく急になってしまいます。償却率は従来のままにしておいて、そこで計算される償却額を9分の10倍すれば、耐用年数経過時に100%償却できますが、そうするためには、従来の償却スケジュールに基づく簿価(償却計算だけのために用いる金額)のデータを、実際の簿価とは別にもっていなければならず、煩雑です。
既存の固定資産については「累計で95%を上限とした「償却可能限度額」を撤廃する」とのことですので、償却カーブ自体は変えずに、最後の5%のところだけ処理を変える(一挙に落とすか、または償却を続ける)のでしょう。
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