封印された「JAL再生タスクフォース」報告書の全容
日経ビジネスのサイトより、「JAL再生タスクフォース」が国土交通大臣に提出した報告書を取り上げた記事。この報告書の「実態貸借対照表」では、JALは7220億円の債務超過になっているそうです。
ただ、かなり乱暴な資産評価に基づく数字のようです。
「資産の減少で大きな要因は機材(航空機)の評価損計上だ。報告書が前提とするのは、保有する機材280機(うちリース109機)のうち、今年度と来年度からの再建5カ年計画の間に75機を売却するというもの。売却対象は全機退役となる「B747-400」(保有41機)と「MD90」(16機)が中心となっている。
1機当たりの評価額は、世界中の航空機バイヤーが参考とし、事実上の中古機価格となっている「AVACブルーブック」の直近市場価格の50%が基本ベース。かなり厳しめの値付けといえる。・・・
その結果、バランスシート上に7293億円が計上されていた航空機資産はほぼ半分の金額に減価され、評価損は3680億円にも達する。」
「売却機材の評価額は一般の中古機価格の半値という厳しさ。しかも、売却予定にないものまで、一律に中古機価格まで引き下げている。購入して日が浅いエンブラエル機など継続使用する自社保有分(リースを除く)の評価損だけで861億円だ。」
旅客機をまとめて売却するとなればある程度時間がかかると思われます。それを急いでたたき売りすれば、市場価格を大きく下回ることもありえますが、それが「実態」の評価額なのでしょうか。また、記事に書かれているように、売却を前提にしていない資産まで一律に時価(よりかなり低い金額)まで下げる必要があるのでしょうか。
いろいろと疑問がわいてきます。固定資産の計上額というのは、要するに、コストのかたまりなわけですから、低くすればするほど、見掛け上、将来の期間の業績は良くなります。V字回復を狙うのであれば、なるべく低く評価することになります。
もちろん、制度会計でも減損処理をすれば、時価や使用価値まで減額するわけですが、時価(処分費用控除後)より低い評価にする理屈はありません。
いずれにしても、このような場合の資産評価の方法に明確なルールがあるわけではないので、前提条件(や評価を行ったひとの思惑)をよく確かめる必要があるのでしょう。
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