会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

米SEC、税金費用過少計上の会社に140百万ドルの罰金(economiaより)

SEC hits oil services company with $140m fine

Weatherford Internationalという石油関連サービスの会社が、不正な税金会計により利益を水増ししていたとして、米SECが140百万ドルの罰金を課したという記事。この会社は、事前に開示していた実効税率を達成したかのようにみせかけるため、毎年100百万ドルから150百万ドルの利益水増しを行っていました。

Weatherford International has been fined $140m (£107.8m) by the Securities and Exchange Commission (SEC) to settle charges that it inflated earnings by using deceptive income tax accounting

The oil services company inflated its earnings by $100m to $154m each year in order to fill gaps and meet its previously disclosed effective tax rate.

税務担当の副社長らが、アナリストや投資家に対して、会社の実効税率が低いことをアピールしていたそうです。この不正により、会社のタックスストラクチャーが現実よりもはるかにうまくいっているという誤解が創出されたと、SECはいっています。

James Hudgins, who served as Weatherford’s vice president of tax, and Darryl Kitay, who was a tax manager, touted the company’s favourable effective tax rate to analysts and investors as one of its key competitive advantages.

The SEC said that the fraud created the "misperception" that Weatherford’s designed tax structure was far more successful than reality.

会社だけでなく、不正に関わった副社長ら個人にも罰金などが課せられています。

While Weatherford was ordered to pay a $140m penalty, Hudgins was fined with $334,067 in disgorgement, interest, and penalty. Kitay was ordered to pay a $30,000 penalty.

会社は2011年と2012年の決算の訂正を余儀なくされています。

Weatherford was forced to restate its financial statements on three occasions in 2011 and 2012. The SEC said its investigation is still ongoing.

会社ぐるみの不正ではなく、税務担当の幹部らが自分たちの得点稼ぎのためにやったような印象ですが、それを許してしまった会社も当然責任を負うということでしょう。

Weatherford International to pay $140 million for accounting fraud(ロイター)

Weatherford's former vice president of tax, James Hudgins, and former tax manager Darryl Kitay made numerous adjustments to their final calculations "to fill gaps" to match the average tax rate on pretax profit that Weatherford disclosed to investors, the SEC said.

SECのプレスリリース。

Oil Services Company Paying $140 Million Penalty for Accounting Fraud

法律事務所の宣伝みたいなところもある記事ですが...

海外企業に比べ多額の税を払う日本企業のなぜ?(日経ビジネス)

「高まりを見せるBEPS議論の中でも欧米企業は税の研究を更に深め、新たな環境下でも各国の法律が許す範囲で最大限、税負担を減らそうとしているのに対し、本来、BEPS議論の対象になるほどのタックスプランニングを行って来なかった日系企業だけが委縮して、BEPS議論に関する理解を深めるよりも情報開示要求に最低限応えることで追徴リスクを軽減しようとしているようにすら見える。しかし、今日、グローバルに事業展開する企業は、国際税務に関する深い理解なくしては、税負担を削減できないばかりでなく、日本及び進出先の国での追徴課税リスクも高まるばかりなのである。

税に対する取り組みの違いは、企業が抱える税務部門の人員や予算にも現れている。欧米企業が税務部門を海外進出のための重要部門として位置づけ、100人を超える人員を擁している場合もあるのに対して、日本企業では未だに税務に特化した部門がない企業も珍しくない。

また、予算も、欧米企業は税というキャッシュが節減できるのであれば、節減額に見合った投資として税務部門の予算を確保しているのに対して、日本企業は税に関する予算と言えば申告のためのもののみというケースも多い。世界で税金をばらまいているかに見える日本企業は、今や、世界で特異な存在とすら言える。」

欧米企業はタックスプランニングに熱心だとのことですが、だからこそ、実際よりもタックスプランニングがうまくいっているように見せたいという、税務担当責任者の不正への動機も強いのでしょう。

日本だと税金関係では繰延税金資産がよく問題になりますが、この処分事例とは動機がちょっと違うようです。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事