会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝が米原発子会社の損失開示遅れで会見(THE PAGEより)

東芝が米原発子会社の損失開示遅れで会見(全文1)

東芝が米原発子会社の損失開示遅れで会見(全文2)

東芝が米原発子会社の損失開示遅れで会見(全文3完)

東芝が、子会社のウエスチングハウスののれん減損などについて説明した11月27日の記者会見の模様を伝える記事。質疑応答も含めて全文掲載されているようです。

事業評価の方法など、結構細かいテクニカルなところまで、記者が質問していますが、限界があるようです。

その一部。

「日経ビジネス:... 3点目ですけど、2013年にウェスチングハウス単体についてはインカムアプローチとマーケットアプローチを併用している。にもかかわらず、東芝連結ではインカムアプローチのみであると。こういうダブルスタンダードが連結の中で通用するのはなぜなのか。そして、2014年にまたインカムアプローチのみに戻ったのはなぜなのか。もうちょっと詳しく教えてください。」(全文2より)

「志賀:それでは3番目のご質問について回答いたします。2013年におきまして、先ほどご説明いたしましたような結果が、ウェスチングハウスのほうの減損評価といたしまして出ました。この中ではマーケットアプローチというところが今ご指摘のあったように、新たに加わっております。その配慮といたしましては、ウェスチングハウスの監査をしております監査法人、そちらのほうの意見といたしましてマーケットアプローチというのを出すべきであろうと。それは新規建設のほうのリスクが増えたんじゃないかということで採用されました。

これにつきましてはウェスチングハウスと監査法人でもずいぶん意見がわかれまして、実際マーケットアプローチの中で、特に参考とされているのがAREVAであったということがございまして、AREVAのその当時の建設での問題、またバックエンド、フロントエンドを非常に中心とする業種のメーカーでございますし、そこでそのフロントエンド、バックエンドのほうで大きなロスが出ていたということもございまして、マーケットアプローチとして適切なリファレンスでないというような議論、これはかなり深い議論があったんですけれども、最終的にそのわれわれの意見は受け入れられなかったと。われわれというのはウェスチングハウスの意見は取り入れられなかったということです。

日本では、私どももまた日本側で監査法人と話をしておりまして、今、ご説明で見ていただきますように、日本側はインカムアプローチということでずっと統一してございます。もちろんこれは統一というだけでなくて、マーケットアプローチにつきまして先ほどと同じ主張を私どもいたしまして、それを受け入れていただいたというような経緯がございまして、その結果に基づいて私どもとしては減損評価を行ったということでございます。」(同上)

経営計画自体の妥当性についても聞いています。

「UBS証券:UBS証券のヤスイと申します。質問、3つございます。1つ目は資料でいただいた10ページのところで、原子力事業の計画で減損テストになってる前提のところなんですけれども、18年から29年、平均で営業利益が1,500億、で、EBITDAで1,800億と今、想定できる数字はすごく高い水準になっているので、これが仮に達成できなかったら、今足元で営業利益、500億ドル、3分の1ぐらいになってしまうので、今のこの前提となっている公正価値8,100億円というのはほとんどこの18年から19年の平均を前提にされてますよね。これを3分の1にしてしまうと、8,100億円の事業価値というのはだいたい2,700億、3分の1ぐらいになってしまうのかというのをまず確認させてください。これ1点目です。」(同上)

これに対しては、会社側は「当然ビジネスプランというのが前提でございますので、それに関して達成できなければその分だけ公正価値は下がるというのは確実でございます」と、回答しているほか、燃料やサービスのビジネスが好調だと強調しています。

インカムアプローチでやるということだと、経営計画にもどづく将来キャッシュフローと割引率で評価が決まるということになります。割引率の方は、極端にゆるい率にはしにくいでしょうから、経営計画次第ということになるのでしょう。

当サイトの関連記事(東芝の記者会見について)(←記者会見のときの資料についてはこちらから)

その2(関連する日経ビジネスの記事について)
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