2016年3月期からの適用も可能な新会計基準
企業会計基準委員会の「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」公表を取り上げた記事。
まず、現行のルールについて・・・
「繰延税金資産は、会計上の費用と税務上の損金の認識期間のズレを調整するもので、たとえば会計上は将来に帰属すべき費用(税)を前払いしたと考え、その分を将来回収できるものとして資産計上する。
実は現在まで、これといった会計上の適用指針はなかった。監査上の実務指針として日本公認会計士協会(JICPA)が1999年11月に定めたガイダンス「監査委員会報告第66号」(以下、66号)があるのみだ。それ以来、1文字も変わっていない、珍しいルールなのだ。」
「現行の66号では、企業を1~5号に分類している。業績がすこぶる好調で、繰延税金資産を全額積めるのが1号、それに準じて「ほぼ全額積める」のが2号。「『おおむね5年以内』と規定されているが実際は運用が硬直的で将来5年分の課税所得見込みまでしか最大積めない」のが3号、「例外を除き、実務上は1年分しか積めない」4号、「業績がすこぶる悪く、繰延税金資産を一切積めない」のが5号だ。1号に当たるほどの好調企業は滅多になく、現在「好調」とされる企業の多くは2号なのだという。
これらの中で1号と5号は「まあ、そうだろう」という納得感があり、特に問題視されていない。問題は3~4号で、特にIFRS(国際財務報告基準)の任意適用会社や米国SEC基準で決算を発表している会社から、「IFRS(やSEC)では認められている繰延税金資産が、国内監査基準の66号の影響で認められないのはおかしい」との声が多く出ていた。」
指針案では・・・
「違うのは2~4だ。簡略化すると、以下のようになった。
<分類2> 2号に加えて、「将来回収可能だと合理的に説明ができる部分」も繰延税金資産を計上するうえで課税所得を見込むことができる
<分類3> 3号は実務上5年までだが、5年を超える部分も「将来回収可能だと合理的に説明できれば」繰延税金資産を計上するうえで課税所得を見込むことができる
<分類4> 4号は実務上1年までだが、「将来回収可能だと合理的に説明できる部分」は分類2、3として繰延税金資産を計上するうえで課税所得を見込むことができる」
「合理的に説明できる場合」を、ASBJ副委員長に聞いたそうです。
「「たとえばどんな場合が合理的に説明できる場合か」と、ASBJの小賀坂敦副委員長・税効果会計専門委員会委員長に質問したところ、「IFRSでは認められているのに、日本では認められていない場合」との回答があった。」
IFRSで認められる範囲をどの会社も理解しているのなら、そもそも指針自体が不要なのでは。
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