グレイステクノロジーなどの不正会計問題の背景には、監査法人の制度疲労があるという記事。
記事前半では、グレイスのケースで、営業利益率や売上債権回転期間の推移の異常性から、不正を察知できたのではないかといっています。
グレイス以外にも、エデュラボ、アウトソーシングの不正にもふれており、3社とも、中小ではなく大手監査法人が監査していたことを指摘しています。(ネットを見ると、この3社が最近の粉飾ワースト3のようです。)
監査法人の問題点は...
「まず人手不足だ。監査法人所属の公認会計士は13年3月から21年3月までに8%増にとどまる。...人員の伸びよりも業務量が増えており、「10年前の業務量が100とすると今は120~130のイメージ」(大手監査法人)という。違和感を放置せず会社側に突っ込んで確認する時間や精神的な余裕がなくなっている。
働き方改革で、限られた時間内に業務を終えることも求められている。大手監査法人パートナーは「現場チームの時間が足りず、確認する上司としても論点を騒ぎ立てると申し訳ないと感じることがある。会社が言うことを荒立てずにやるというインセンティブが働きやすい」と明かす。さらに新型コロナウイルスの影響で、棚卸し資産などを実地で確認する手続きも難しくなっている。」
そのほか、おなじみの八田教授が、(持論である?)新公認会計士試験制度犯人説をコメントしています。個人的には、昔の試験がよかったとも思えないのですが...。
人手不足に関しては、AIによる生産性向上で一挙解決みたいな宣伝もなされていますが、実際どうなのでしょう。人事政策として、組織のピラミッドを維持するために、転職を促している面もあるのでは(それが現時点ではたまたま効き過ぎているだけ)。
今も続く新型コロナの監査への影響については、会計士協会が再度点検すべきでしょう。また、オミクロンで社会的機能が維持できるかどうかという状況なのに、決算や監査だけはスケジュールどおりというのは無理があるでしょう。
当サイトの関連記事(監査法人の働き方は依然ブラックだという東洋経済記事について)
会計士協会が昨年調べた結果によると、新型コロナウイルス感染症に関連した監査上の対応はきちんと行われていたということになっています。
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当サイトの関連記事(会計士協会の「新型コロナウイルス感染症に関連した監査上の対応状況についての調査報告書」について)
エデュラボが改善報告書提出 取締役会の議論不足指摘(日経)(記事冒頭のみ)
「EduLab(エデュラボ)は25日、上場前からの不正会計を巡り、経緯や再発防止策をまとめた改善報告書を東京証券取引所に提出したと発表した。報告書では、売上高の過大計上や連結範囲の調整などが見過ごされた要因として「取締役会の議論に積極的に参加しないまま議案を承認する社内取締役が多かった」と指摘した。」
東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ(EduLab)(PDFファイル)
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