環境重視の投資がはやっているが、投資の中身は看板どおりではないという記事。
「環境重視の投資が大流行する一方で、残念ながら企業が気候変動対策に熱心な振りをする「グリーンウォッシュ」がまん延している。」
「本誌(The Economist)はこのほど、世界の運用資産総額上位20のESGファンドによる投資内容を分析した。その結果、上位20のESGファンドは平均して、それぞれがいまだに17の化石燃料を生産する企業に投資している事実が判明した。20のうち6ファンドが米石油最大手のエクソンモービルに投資し、2ファンドは世界最大の石油会社であるサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの株式を保有している。また中国の炭鉱会社の株式を保有しているファンドも一つあった。
ESG投資は、社会的倫理面からみてもおよそ優れているとはいえないこともわかった。上位20のうち複数のファンドが賭博や酒類、たばこ事業を展開する企業に投資していることも判明したからだ。」
EUは、「どういうものが環境保護に資する「グリーン」な事業なのかそうではないかを投資家に伝えるための分類(タクソノミー)」を公表するなどしており、そういう取り組みを参考にすべきとのことです。
さらに情報開示の拡大も求めています。
「企業各社に自社のカーボンフットプリントのすべてを開示するよう義務付ければ、よりよいシステムの構築につながる。環境汚染の大きな原因となっている企業が自社のフットプリントを今後、どう変えていく見通しなのか、CO2排出量を削減するために、どれほどの設備投資を予定しているかを公表することも事態の改善につながる。
これらの情報があれば、投資家たちは、自らの投資先企業の現時点での環境に与えている負荷の程度を把握できる。加えて今後、その負荷がどう変化していくかを知る手がかりにもなる。」
以下のような記述を読むと、そもそも、投資家や企業に期待しすぎない方がよいのではないかと思えるのですが...。
「本誌の推定では、世界のCO2総排出量のうち、上場企業(国営を除く)による排出はわずか14~32%にすぎない。したがって、民間企業による環境に資する投資は気候変動に対する解決策の一つにしかならない。
実のところ民間上場企業によるCO2総排出量の8割強は、そのわずか5%ほどの企業による。つまり、CO2排出のほとんどは石油大手やガス・電力会社およびセメントや鉱業を手掛ける企業による。
情報開示が改善されれば、再生可能エネルギーや画期的な技術に多額の投資をしているのは、実はごく一部の企業にすぎないという事実も明らかになる。
以上の取り組みをすべて進めることができれば、企業や資産運用業界の多くが地球を救うヒーローであるなどという考えが完全にまやかしであることが明白になるだろう。」
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事