金融庁の証券取引等監視委員会は、アジャイルメディア・ネットワーク株式会社における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、課徴金納付命令発出の勧告を、2022年6月23日付で行いました。
「架空取引による売上の過大計上、販売費及び一般管理費の過少計上及びソフトウェア仮勘定の過大計上等の不適正な会計処理を行った」結果、「「重要な事項につき虚偽の記載」がある...有価証券報告書、四半期報告書及び有価証券報告書等の訂正報告書を提出した」とされています。
対象は、平成30年3月第1四半期四半期報告書から令和3年9月第3四半期四半期報告書までです。訂正報告書は昨年7月に提出されたものです。
そのほか、発行開示書類の虚偽記載も指摘されています。
影響額は、例えば、平成30年12月期有価証券報告書でみると、「売上の過大計上、販売費及び一般管理費の過少計上」により、「親会社株主に帰属する当期純利益が▲64,345千円であるところを79,959千円と記載」などです。同じ期の訂正報告書では、親会社株主に帰属する当期純利益が26,703千円と記載していました。両方とも処分対象です。貸借対照表への影響では「連結純資産額が168,525千円であるところを525,162千円と記載」(令和2年12月期有報)などです。
勧告された課徴金額は、8,425万円です。
証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告についてのお知らせ(アジャイルメディア・ネットワーク)(PDFファイル)
特設注意市場銘柄の指定に関するお知らせ(6月15日)(アジャイルメディア・ネットワーク)(PDFファイル)
東証の通知の引用より。
「アジャイルメディア・ネットワーク株式会社(以下「同社」という。)は、2022年4月11日付で、不適切な会計処理等に関する第三者委員会の調査報告書を開示し、当該調査結果に基づき、同年5月11日付で、過年度の決算内容の訂正を開示しました。
これらの開示により、同社では、新規上場直後に当時の財務統括最高責任者である取締役(以下「取締役CFO」という。)が主導して架空売上を計上していたこと、取締役CFOが新規上場前から継続して不正な資金流出を行っていたことなどが明らかになりました。
また、同社は、2021年7月14日付で過年度決算内容の訂正(以下「前回訂正」という。)を開示していますが、当該訂正前に設置された第三者委員会による調査(以下「前回調査」という。)が監査役監査の機能不全や当時の代表取締役社長も関与した証拠となりうる複数の電子データの削除などに起因して不適切な会計処理の全容を解明しないまま終了し、前回訂正が不正確かつ不十分なものであったことも明らかとなりました。
その結果、同社は、新規上場時に提出した「新規上場申請のための有価証券報告書」に記載した2017年12月期に係る財務諸表等に虚偽の表示を行ったほか、上場後に開示した2018年12月期第1四半期から2021年12月期第3四半期までの決算及び四半期決算の内容において虚偽の開示を行ったものであり、これらの虚偽の表示及び開示は、有価証券上場規程及び新規上場時に提出した宣誓書に違反したものであると認められました。」
つい最近まで、大手監査法人が監査していたのですが...
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