グラント・ソントンのモルドバ事務所が、10億ドルの横領事件で、手抜き監査を同国の国会議員から追及されているという記事。
Grant Thornton has been accused of negligence and incompetence after $1bn (£640m) was embezzled from Moldova
この事務所は、不正が起きたモルドバの3つの大銀行を監査していました。
According to reports from the Guardian, the firm was auditor for three of the former Soviet republic’s largest banks when the fraud took place.
モルドバ政府は、同国年間予算の半分を使ってそれら銀行を救済せざるを得なくなりました。
The Moldovan government was forced to rescue the banks with a bailout worth half its annual budget, leading to a currency collapse and recession.
Unibank、Banca de Economiaa、Banca Socialaの3銀行で10億ドルの横領が発見されたのは、2014年11月でした。3銀行は、それぞれ、2010年、2011年、2013年から、グラント・ソントンのモルドバにおけるメンバー・ファームの監査クライアントでした。
The $1bn was discovered stolen in November 2014 at Unibank, Banca de Economiaa and Banca Sociala. All three banks were clients of the Moldovan member of Grant Thornton, which had audited them since 2010, 2011 and 2013 respectively.
同国の国会議員Iurie Chirinciuc氏から、手抜き監査を追及されているそうです。
According to the Guardian, Moldovan MP Iurie Chirinciuc accused the firm of acting negligently.
グラント・ソントン側の反論も書かれています。監査人の役割は不正の発見ではない、監査報告書はその当時の状況において正しかった、経営陣や株主や中央銀行への書簡のなかで様々な発見事項を記載している、2013年の調査委員会は、裁判所の検査やIMFの報告書だけでなく、グラント・ソントンの監査にも基づいている、などといっています。
モルドバ3銀行から10億ドル消失、受け手特定できず(AFP)
「欧州の貧困国、モルドバにとって10億ドル(約1200億円)はかなりの大金だが、それが消えたとなればなおさら一大事だ。
事態はモルドバ中央銀行が、国内の3つの金融機関による計10億ドル相当の融資を確認したことから明るみに出た。10億ドルはモルドバの国内総生産(GDP)の15%に相当する。融資の受け手は特定できておらず、資金は消えたも同然となっている。
謎の取引について、汚職行為を追及するモルドバの検察当局や米監査機関が調査を進めているが、欧州連合(EU)への加盟を目指す旧ソ連構成国のモルドバにとって厄介な問題であり、国内の金融システムを揺るがす恐れもある。
この融資を行ったバンカ・デ・エコノミ(Banca de Economii)、バンカ・ソシアラ(Banca Sociala)、ウニバンク(Unibank)は、3行合わせて国内の全銀行資産の約3分の1を保有する。
謎の取引は、2014年11月末に実施されたモルドバ議会選の直前の数日間に行われたとみられる。議会選では、親欧米派の複数の党が僅差で過半数を獲得し、親ロシア派の野党を抑えた。
調査にあたっている議会委員会による報告では、消失した資金の一部はロシアの4つの金融機関に送金された可能性があるという。野党・モルドバ共和国社会党の党首、イゴール・ドドン(Igor Dodon)氏は、資金はさまざまな外国企業の口座に行き着き「そこで痕跡が消えてしまった」のではないかと憶測している。」
数日間のうちの送金がなされたのだとすれば、監査人は送金を事前にチェックしているわけではないので、どうしようもありません。責任はないのでは?
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