会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ワイヤーカードの破綻と規制当局の教訓(野村総合研究所より)

ワイヤーカードの破綻と規制当局の教訓

ドイツのワイヤーカード社の破綻の背景にあるといわれている、ドイツ当局の監督体制の不備についてふれている記事。

「ドイツで企業会計を監督するのはドイツ連邦金融監督庁(BaFin)であるが、実際にはFREPという半官半民の組織に、上場企業の会計の監視機能を委託していた。この制度にも問題があったのである。企業会計に問題が生じた場合でも、FREPの調査報告を受ける前にBaFinが独自の調査を実施できない規定となっていた。

FREPは、米国で起きたエンロンの会計不正問題への対応として2004年に設立されたが、従業員は15人の小さい組織だった。英紙フィナンシャル・タイムズがワイヤーカードの不正会計疑惑を報道した後も、その調査にあたったのはわずか1人だったという。

ドイツ政府はワイヤーカードの破綻を受けて、BaFinによるFREPへの業務委託を止め、企業調査の権限をBaFinに移す方針を固めた。」

日本の監視委のサイトを見てみると、開示検査の担当者の定員は44人です。単純な比較はできませんが、ドイツの15人と比べて、すごく多いというほどではありません。



そもそも、欧州各国はフィンテック業界に対する規制が甘かったそうです。

「欧州各国の規制当局は、スタートアップ企業を次の「ユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)」に育成しようと、積極的な規制緩和に動いていた。消費行動や金融サービスの利用に革新をもたらすと期待されていたフィンテック業界に対して、イノベーションや成長を促そうとしていたのである。」

「日本においても、欧州と共通する事情があるのではないか」と注意喚起しています。

たしかに、会計分野でも、仮想通貨(暗号資産)の会計処理基準策定をASBJに急がせたり、前のめりになっている感じはします。
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