日産の特別委員会がまとめた企業統治改善案を取り上げた社説。
批判的な部分。
「一方で、今回の内容で経営の立て直しに十分とは、到底いえない。特別委は「ガバナンスの改善」に目的を絞っており、事実認定や前会長ら以外の経営責任について、踏み込んだ検討や説明をしていないからだ。
そもそも特別委は7人中3人を社外取締役が占め、日本弁護士連合会のガイドラインに基づく「第三者委員会」ではない。ゴーン前会長らからの聴取も行わなかった。様々な制約がある中での調査とはいえ、客観性には留保をつけざるをえない。
報告書に示された不正の事実も、多くは項目の列記にとどまり、具体的な内容の説明は避けている。捜査・公判への影響を考慮したとしても、株主、消費者、従業員への情報開示の観点から疑問が残る。
最大の問題は、現経営陣の責任の有無に言及しなかったことだ。西川広人社長兼CEOは05年に副社長に就き、ゴーン体制下で経営を担ってきた。不正があったとすれば、自ら関与していないにしても、経営者として看過した責任は免れない。
日産は会社としても起訴されている。その他の役員も含め、取締役としての務めを十全に果たしてきたのかを不問にしたままでは、いくら組織を整えても経営の刷新は無理だ。」
もっともな見方です。
[社説]日産は信頼と競争力を取り戻せるか (日経)(記事冒頭のみ)
「他方で踏み込み不足の点は、ゴーン元会長の不正を見逃したその他の経営陣についての評価を避けた点だ。例えば日産は法人としても有価証券報告書の虚偽記載の罪で起訴されているが、対象である17年度の同報告書に、会社の代表者として記載されているのは西川広人現社長だ。
日産が真に信頼を回復するにはこうした事実を直視する必要があり、特別委が現経営陣の責任論を素通りしたのは残念だった。」
どちらの社説も会長職廃止には賛成のようです。
「以前の日産はゴーン被告が会長という事業執行の責任者を務めると同時に、株主の立場などにたって執行を監督する取締役会の議長も兼任した。...
会長職を廃し、執行の権限は最高経営責任者に、監督機能はそれとは別人の取締役会議長に委ねる提言は妥当であり、他の日本企業にとっても示唆するところが大きいのではないか。」(日経)
会長も議長も、チェアマンなのでは?違いがよくわかりません。
執行と監督ははっきり分けるべきという考えからすると、CEOと兼任するのはまずいというのはわかるのですが...。
ガバナンス改善特別委員会報告書はこちらから。
↓
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日産・西川社長 ゴーン報酬の覚書に「深く考えずサイン」(日刊ゲンダイ)
「「ゴーン被告と(前代表取締役の)グレッグ・ケリー被告との間で話ができていると思い、深く考えなかった」と話しているという。」
こちらは現経営陣寄りの見方。
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「ゴーンが独裁者に変わった時」右腕と呼ばれた元副社長激白(週刊ポスト)
「もちろん、ゴーンの不正を許した日産のガバナンス体制の改革は喫緊の課題です。指名委員会等設置会社になるなど、仕組みを変える意味もあるでしょう。ただ、重要なのは執行部です。
執行部が強い体制なら、広い視点から社外取締役が有効なアドバイスをくれる。今その体制づくりの中心は、西川社長です。」
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