証券監督者国際機構(IOSCO)(日本の金融庁も一応メンバーです)が、新型コロナウイルスの影響に関して、「調整後利益」の乱用をいましめる声明書を出したという記事。
「新型コロナの影響を除いた収益指標を投資家への説明に使う動きがあり、こうした手法は望ましくないとの見方を示した。開示内容の充実には外部監査の役割が大切だとも強調した。」
「声明はいわゆる「調整後利益」の乱用にクギを刺した。海外では一時費用を除く独自の利益指標を、業績の説明で掲げる企業が多い。最近では米ウーバーテクノロジーズのように、新型コロナの関連費用も足し戻した数値を示す動きが出ている。市場関係者の間では、償却前営業利益をさすEBITDAにコロナのCを加えた「EBITDAC」という造語も登場し、批判が起きていた。
IOSCOは、会計基準に基づかない独自指標の運用では「誤解を招く可能性がないようにすることが特に重要だ」と指摘した。新型コロナでは業績への影響は全てが一時的とは限らないとし、むやみに利益を調整すべきではないと説いている。「新型コロナの影響がなければ利益は××%増えていた」といった仮定の収益表示は不適切だと例示した。」
日本公認会計士協会の「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その4)」では、新型コロナによる営業停止や操業度低下の場合(一定の条件あり)に、その間の固定費などを特別損失に持って行く(営業利益は新型コロナの影響が緩和された利益になる)ことを容認していますが、IOSCOの考え方からするとおかしいということになるのでしょう。実務的にも、政府や地方自治体による要請や声明等による制限は、内容が緩くなったとしても、これからもずっと続くわけであり、いつまで特別損失なのかという問題が出てくるでしょう。会計基準の違いだといわれればそれまでですが...。
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