三菱自動車は燃費不正の影響で1000億円超の損失が生じる、という試算がいくつかあるという記事。
「野村証券では、エコカー減税返納分、ガソリン代、顧客へのお詫び料の3つの費用総額を425億―1040億円と試算。それ以外の費用も含め、三菱自の17年3月期に特別損失1500億円が発生すると予想している。
クレディ・スイス証券では、実際の燃費との差が約10%と仮定し、エコカー減税返納分、ガソリン代、中古車価格の下落分を顧客への補償額として試算。また販売停止が3カ月続く場合、工場の操業低下で150億円悪化すると推定し、燃費不正によるマイナスの影響を約650億―1150億円と見積もる。
三菱自の調査では、1991年以降に販売したほぼ全車種で国内法令と異なる方法で燃費試験用データを計測していたことも判明した。軽4車種だけでなく、現在販売中の他の9車種についても追加調査中で、その結果、不正対象車が200万台以上に拡大するとの試算もあり、補償額はさらに膨らむ恐れがある。」
「三菱自が日産に供給するデイズは15年度の軽販売台数で3位に入る人気シリーズ。日産に対する補償額は販売機会損失という点も考慮され、販売停止期間にもよるが、数百億円規模とアナリストらはみている。」
これら見積りをそのまま使うわけにはいかないとしても、本来、不正に関連する直接的な補償は、2016年3月期に計上すべきです。ところが、4月27日に公表された2016年3月期決算では、この問題に関して1円も損失を計上していないようです。
見積りが難しいのかもしれませんが、それなら、法令に違反しない限りで、決算発表や決算確定を遅らせて、少しでも正確な見積りに基づき、損失を反映させ、できるだけ現実に即した財務諸表を株主に報告すべきでしょう。
三菱自動車、2015年度決算を発表(三菱自動車)
決算短信によれば、会社はこの不正を単なる(開示)後発事象としているようです。しかし、不正があったのは、2016年3月以前なのですから、修正後発事象でしょう。地震と一緒にしてはいけません。
(三菱自動車決算短信より)
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