悪質な粉飾決算をやっていたグレイステクノロジー(東証1部)が上場廃止見込みだという記事。
27日に開示された特別調査委員会の調査報告書の内容も紹介されています。パワハラ横行が不正の背景にあるようです。
「報告書によると、幹部は機関投資家と頻繁に面談を繰り返し、成長率見込みを尋ねられると「前期(実績)比20~30%増」と説明していた。理由は「10~15%(増)と伝えると(投資家から)そっぽを向かれてしまう」から。子供じみた発想が蔓延していた。現状を無視し、機関投資家への説明に合わせるため過大な売上目標が設定された。
営業部員からの目標売上の報告が全体の目標数値に届かないと、部員は強い叱責を受けたという。そのため、見込みがなくても引き上げた目標を報告していた。
だが、その数字でも経営陣の目指す目標に達せず、さらに上乗せを要求された。最終的に個人目標が前期実績の2倍になるケースもあった。毎週月曜日に行われる営業会議では、数字が足りない部員に取締役から厳しい叱責・追求が行われた。報告書では、営業会議は営業部員を「詰める場」と指摘している。」
不正会計の内容。役職員が、ノルマ達成のため、新株予約権行使で得た資金を架空入金にあてるなどしていたようです。
「達成困難な過剰ノルマのために、納品が完了前でも受領書にサインをもらい経理担当者に提出する、ノルマ達成への異常な事態が起きていた。前倒しても売上目標の達成が困難になってくると、経営陣が関与する大規模な架空計上が始まった。正式受注に関係なく、受注があったことにする荒っぽい手口だった。
一部は正式な受注に繋がったケースもあったが、受注できなかった場合、役職員に発行された新株予約権の行使で得た株式売却資金を顧客名義でグレイステクノロジーに振り込み、正常な入金として偽装した。
架空売上の合計は、2016年3月期から2021年3月期までの6年間で合計23億4700万円に達した。」
粉飾決算で株価を上げ、それによる新株予約権行使利益で、さらに粉飾を続けるという状況だったようです。監査人に対する偽装工作も悪質です。
「売上の前倒しや架空計上で予算を達成すると、2020年12月の株価は上場来最高値の4235円まで上昇した。株価を上げ、新株予約権の行使条件を達成すると、多額の株式売却益を捻出し、架空売上の原資に投入する。地獄の「自転車操業」にはまり込んだ。これら偽装をチェックする会計監査人に対しても偽装工作した。偽装入金する顧客の本店のある都市や地方にまで赴き、当該地域の支店から送金手続きをしていたほか、顧客担当者のメールアドレスの偽造やなりすましにも手を染めた。」
あやしいと思っても、ここまでやられると、押し切られてしまうのでは。
2022年3月期第2四半期報告書の提出未了及び当社株式の上場廃止の見込みに関するお知らせ(PDFファイル)
「2022年3月期第2四半期報告書の提出については、特別調査委員会の調査結果を受け、当社において、決算数値を確定すること、会計監査人から四半期レビュー報告書を受領することが条件となりますが、当社は、本日現時点においても決算数値を確定できておりません。そのため2022年3月期第2四半期報告書の作成を完了することができないため、上場廃止基準に抵触する本日までに関東財務局へ2022年3月期第2四半期報告書の提出ができません。」
特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ(PDFファイル)
100ページ以上ある報告書までは読めていませんが、プレスリリース部分を読む限りでは、不正手口であたらに示されたものとして、リース会社による立て替え払い(架空リース?)を使った架空売上もあったようです。
「一部の架空売上に際しては、顧客の署名や押印が必要な書類の偽造がなされておりました。また、リース会社による立替払契約も利用され、顧客が作成すべき立替払委託契約書等を偽造してリース会社から当社に対して売掛金を入金させ、当社役職員が自己資金を顧客名義でリース会社に振込返済することで正常な返済を偽装したものもありました。」
リース会社もだましていたということになります。
調査にはKPMGも参加しているようです。
報告書74~78ページに、監査人への偽装工作が詳しく記述されています。
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