会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

上場企業の17年度 年金積み立て不足、4割減 運用好調 業績影響小さく(日経より)

上場企業の17年度 年金積み立て不足、4割減 運用好調 業績影響小さく

上場企業の企業年金の積み立て不足が大幅に減少したという記事。

「株式などの運用環境が好調で、運用成績が計画を下回った際などに発生する積み立て不足額は2017年度で3兆69億円前年度比4割減った10年前の5分の1の水準にまでに縮小し、企業が不足額の穴埋めのため、費用負担しなければいけないコストが抑えられている。」

「日本経済新聞社が上場企業(金融を含む)3746社の有価証券報告書を基に集計したところ、年金資産は前年度比3兆円増の72兆6494億円と70兆円の大台を超え、過去10年で最高となった。世界の株式相場が上昇し運用が好調だった。一方、退職給付債務は93兆1782億円と約8000億円増にとどまった。金利が下げ止まったことで決算にあわせて計算する債務の増加が抑えられた。」

マイナス金利政策の影響よりも運用好調の影響の方が大きかったようです。また、記事によれば、確定拠出年金への移行による影響もあるようです。

退職給付信託を利用している会社のことが出ています。

「年金資産が最も増えたのは三菱UFJフィナンシャル・グループだ。持ち合い株式を退職給付信託に移しており、株高の恩恵が大きかった。みずほフィナンシャルグループとともに資産が債務を上回った。」

記事前半の退職給付に関する会計処理を説明した部分は、ややあやしい記述となっています。現在の会計基準では、連結だけですが、積み立て不足は、そのまま、「退職給付に係る負債」として、BSに計上されることになっています。「退職給付引当金」という科目名は、(連結では)使われていません。

こちらは、退職給付信託(隠れ持ち合い株?)を解約した会社の記事です。

博報堂DY、特別益拡大 4~9月162億円 退職給付信託を解約(日経)(記事冒頭のみ)

「博報堂DYホールディングスは25日、退職給付信託の解約に伴い、特別利益162億円を2018年4〜9月期連結決算に計上すると発表した。これまで100億円程度の特別利益の計上を予定していたが、62億円増える。半面、約7億円の特別損失が見込まれるため、特別利益と特損を合算すると55億円程度の上振れになる。」

確定拠出企業年金制度への移行に伴う退職給付信託資産の返還について(退職給付信託返還益の確定)(博報堂DYホールディングス)

プレスリリースでは、「連結子会社である博報堂および博報堂DYMPにおいて、2018 年 4 月 1 日から企業年金制度が確定拠出企業年金制度に移行されたことに伴い、年金資産が退職給付債務を大幅に超過することになり」と述べています。
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